石くれと砂粒の世界

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zoom RSS 量子障壁(その1)

<<   作成日時 : 2015/05/31 17:41   >>

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今回は前回の量子井戸とは反対にポテンシャルエネルギーに出っ張りがある場合の波動関数を考えます。1次元のモデルは図Aのように示されます。
画像

 この場合、シュレディンガー方程式(前回の(1)式)の解は3つの領域に分けてつぎのように表されると考えられます。
    (1)
    (2)
    (3)
ただしα、βは前回同様で
    (4)
    (5)
です。

3つの式の右辺の2つの項にそれぞれAとB、CとD、FとGの2つずつ計6つの係数がついています。これらはx=0とx=aにおける境界条件によって決まります。

ところでこれらの式はエネルギーEの電子がx<0の側から入射し、x>0の側へ向かって進んでいくことを想定しています。この場合、少し直感的な言い方になりますが、各2つの項のうち第1項は、電子がxが小さい方から大きい方へ進む進行波を表し、第2項は電子がxが大きい方から小さい方へ進む反射波を表していると考えられます。その場合、x>aの領域では反射波はないと考えられますから、
  
としてよいと言えます。

境界条件はx=0とx=aの2点で波動関数そのものとその1次微分がともに連続という条件になり、次の各式が得られます。
    (6)
    (7)
    (8)
    (9)

ここで4つの式(6)〜(9)が得られますが、未知数はA、B、C、D、Fの5つあり、このまま4式を解いても各係数を決定することはできません。そこで入射波に対する比を考えることにし、B/A、C/A、D/A、F/Aの4つを求めることにします。言い換えればA=1と置いて未知数を4つに減らしたと考えることもできます。この4元連立方程式を解くのは計算が面倒ですが、地道に1つずつ未知数を消去していけば、解を得ることができます。結果は
    (10)
    (11)
    (12)
    (13)
となります。

領域1側から入射した電子が障壁に当たって領域1側に反射される反射波に相当するのは(10)式のB/Aです。反射率Rは入射波の強度に対する反射波の強度の比ですから
  
で表されます。

また、障壁を領域3側へ透過する透過率Tは
  
と書けます。

 RとTを求めるには、B/AとF/Aの絶対値の2乗を求めればよいわけですが、この計算もけっこう面倒です。まずV<Eの場合ですが、この場合はβは実数となります。オイラーの公式によって複素数を
  
と書き直します。(10)式から
    (14)

 複素数
の絶対値の2乗は
  
です。(14)式のB/Aは分子、分母に複素数があるため、これを1つの複素数に直してもよいですが、2つの複素数Z1、Z2について複素数の公式
  
を使って分子、分母の絶対値をそれぞれ求めた方が楽でしょう。計算結果を書くと
  
となりますが、教科書などにはさらに整理した式が表示されています。

 例えば、三角関数の倍角の公式
  
を使って三角関数の変数を2βaからβaに変換します。よく見られるのは次のような形の式です。
    (15)

 透過率Tも同様にして
    (16)

 (15)、(16)式を(4)、(5)式を使ってEとVで表した元の形に戻すと
    (17)
    (18)

 ここで反射率Rの式は
  
という形をしています。透過率Tの式は同じPを使って
  
と書けますから
    (19)
の関係になっていることがわかります。これは光学における反射率と透過率の関係に一致していることがわかります。またこれらの式にはサインの2乗が入っているため、αa=nπ(n=0,1,2・・・)のとき、R=0、T=1となることもわかります。
(以下次回に続く)

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