石くれと砂粒の世界

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<<   作成日時 : 2016/01/17 17:18   >>

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 前回登場したボルツマン方程式を使って固体中の電気伝導を解析するためには少し準備が必要です。少し回り道になりますが、今回はそれをやります。

 前回のフェルミ分布の図は横軸が波数kでした。このkがどこからきたのかを考えます。

 以前に量子力学の自由電子モデルについて紹介をしています。ここでは一部繰り返しになりますが、必要な点を再度説明しておきます。

 自由電子、つまり障壁など電子の動きを妨げる要素がない状態における電子について、3次元シュレーディンガー方程式は
    (1)
と書けます。これを満たす波動関数φ(x、y、z)の解は、xyzについて変数分離ができるという仮定のもとに
    (2)
と表せます。ここでk、k、kはそれぞれ波数kのxyz方向の成分で、kのxyz方向の値をxyz座標系でプロットすると、kを表すベクトルで表せ、(2)式は
    (3)
となります。Aは定数です。

 この(k,k,k)座標で表した図Aのような空間をk空間といいます。ベクトルkはこのk空間で図のように表せます。k空間は普通の三次元空間(実空間)とは違うので誤解しないように注意が必要です。
画像

ここでこの波動関数に周期的境界条件を課します。つまり結晶のなかなどで波動関数が周期Lで繰り返しをもつとします。いまx方向を考えると
  
がその条件です。これを満たすためには
  
であることが必要で、これを満たす条件は
  
です。y、z方向も同様として
    (4)
    
となります。

 エネルギー固有値εは(2)式を(1)式に代入し
    (5)
となります。kはとびとびの値をもつのでεもとびとびの値となります。

 定数Aの値は規格化の条件
  
から決まり
    (6)
となります。Vは境界条件の範囲を含む体積です。
画像

(4)式のkをk空間にプロットすると図Bのようになり、kは2π/L周期の青い丸印で表した格子状の点のみをとることになります。

 図Cは図Bよりスケールをずっと大きくとったk空間を示したものです。図示したΔkの厚みをもつ球殻の中に存在する図Bの青い丸の数を数えれば、それがΔkの範囲にある量子状態の数となります(Δkは微小と考えますが、2π/Lよりはずっと大きいと考えます)。なお図Cの球の半径がフェルミエネルギーεFに対応する波数kFであるとき、この球面をフェルミ面と呼びます。

さて球殻のなかの状態の数は
  
となります。全電子数Nはこの量子状態の数×フェルミ分布ですから,Δk→0の極限では
    (7)
となります。ここで(7)式の右辺に2がかけられているのはスピンを考慮したためで、1状態にスピン2状態が存在することによります。今回の目的の一つはこの(7)式が準備として必要だったため、これを導くことでした。また前回、フェルミ分布をkの関数で書いたのもこのためです。kは正負の値を取り得るため、前回の図のようになります。
画像


 もう一点、kについて重要な関係を示します。運動量pと波数kの関係は以前示した通り
    (8)
となります。電界Eがかかったとき、粒子の運動方程式をこのpを使って表すと
    (9)
となります。(9)式を(8)式に代入して
    (10)
の関係が得られます。この(10)式の関係が重要です。

 以上でとりあえずの準備ができましたので、次回ボルツマン方程式の展開を行います。

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