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zoom RSS トンネルダイオードの応用(発振回路)

<<   作成日時 : 2016/03/06 20:36   >>

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 最初に紹介した江崎特許(特公昭35−6326)にもトンネルダイオードの応用として図Aのような発振回路が記載されています。今回はこの発振回路について調べてみます。

 発振回路とは直流電源から交流電流を発生させる回路です。もちろんトンネルダイオードに固有のものではなく、いろいろな原理の回路が知られていますが、ここでは特許の回路に沿って話を進めます。

 図Aをみると、トンネルダイオード7に並列にコイル8とコンデンザ9を直列につないだものと直流電源10が接続されています。
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画像

 またこの発振回路の等価回路が図Bのように示されています。トンネルダイオードの等価回路は負性抵抗11と静電容量(キャパシタンス)12の並列回路で表されています。これは負性抵抗が発生している状態での等価回路でキャパシタンスは接合容量に相当します。トンネルダイオードのインピーダンスZを計算すると、負性抵抗を−R、キャパシタンスをC、角周波数をωとすると
  
となります。より厳密には外部リード線との接触抵抗や線自体の抵抗分とインダクタンスを考慮する必要があります。

 図A、Bの発振回路ではトンネルダイオードにインダクタンス8と容量(キャパシタンス)9が接続されています。この発振回路はLC共振型の発振回路といいますが、この原理を調べます。
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 容量Cに電荷を蓄積させた状態で、インダクタンスLと図Cのように接続するとどのような現象が起きるか考えます。容量Cの蓄積電荷は放電してインダクタンスLに流れ込みますが、インダクタンスは電流の急激な変化を抑える方向にはたらきますので、電流はゆっくり増加し、エネルギーがインダクタンスに蓄積されていきますが、容量の放電が進むと電流は反転し、容量は再び充電されていきます。これが繰り返されるので、発振が生じると考えられます。

 もう少し回路解析的に考えます。二つの素子にかかる電圧をV、V、二つの素子を流れる電流をi、iとすると、インダクタンスLについては
  (1)
キャパシタンスCについては
  (2)
がそれぞれ成り立ちます。
  
  
が成り立つので、(1)、(2)式よりVC,Vを消去すると
    (3)
が成り立ちます。ここで
  
とおくと
    (4)
となります。この微分方程式(4)の一般解は
    (5)
と表せます。いま
  
とすると(5)式はオイラーの公式を使って
    (6)
となり、正弦波の発振が生じることが分かります。発振角周波数ωは
    (7)
です。周波数fは
  
ですから(7)式は
  
となります。

 このように理想的なインダクタンスとキャパシタンスだけの回路なら定常的な発振がおこりますが、上に触れたように実際の回路には抵抗分が必ず存在します。抵抗分があると、発振は減衰してしまいますから、現実にはインダクタンスとキャパシタンスだけでは定常的に発振が維持できる回路は実現できません。この正の抵抗分を負の抵抗で打ち消そうというのが、負性抵抗素子を使った発振回路の基本的な考え方です。
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 図Aの回路は図Cの回路にトンネルダイオードを挿入した形になっています。等価回路、図Bには正の抵抗成分が表向きには記されていませんが、図Dのように書けばわかりやすいと思われます。トンネルダイオード内部のキャパシタンス分も厳密には発振周波数に影響を及ぼしますが、ここでは省略しました。またトンネルダイオードの負性抵抗はある電圧範囲でしか実現しませんから、電圧をその範囲に設定するように電源電圧を選ぶ必要があります。

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