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zoom RSS ゲートターンオフサイリスタ

<<   作成日時 : 2016/06/29 21:19   >>

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 pnpn構造素子にはいろいろな変形があります。全体を網羅するのは難しく、またあまり意味もないと思いますので、主な素子を二三紹介することにします。

 pnpn構造をもつサイリスタはゲート電圧を制御することにより、オフ状態からオン状態に切り換えることができます。ところが一旦オンになった素子をゲート電圧を変えてオフに戻すことは通常、できません。オン状態のとき、真ん中のpn接合は降伏状態になりますから、これをゲート電圧の制御で解消することは容易でないのです。

 オン状態のサイリスタをオフにするには、アノード電流自体をオフにしなくてはなりません。これは外部にもう一つスイッチを設ける必要があることを意味しますから、それしか手段がないとすると、これはサイリスタの大きな弱点になってしまいます。この難点を解決するために、何とかゲートへの信号だけによってアノード電流をオンオフできるようにしたいわけです。

 話を戻してなぜオフにできないかを考えます。前の記事で説明したように、サイリスタを2つのトランジスタの組み合わせと考えると、ゲートは下側のトランジスタのベースですから、このベース電位を制御すれば下側のトランジスタはオフにでき、サイリスタもオフにできそうに思われます。

 しかし下側のトランジスタのベースは上側のトランジスタのエミッタと共通になっているので、サイリスタがオンになっていれば、ゲートのある層に電流がどんどん流れ込みます。このためゲート電位を変えても下側のトランジスタを簡単にはオフにできません。

 この状態を説明するわかりやすい図が特公昭45-12812に載っていますので、これを用いて説明します。図Aはサイリスタの断面図です。下側のp1層にアノード電極が設けられ、一番上のn2層にカソード電極が設けられています。ゲート電極はn2層を囲むように設けられたp2層にカソード電極と同じ面上に設けられています。この素子では下側の層が上側の層を包むような構造になっていますが、これはこうでなければいけないわけではありません。
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 素子はオン状態でn1層とp2層の間の接合が降伏し、多量の電子と正孔が行き交うように流れています。いまゲートには−2Vとカソードの0Vより低い電圧がかけられています。このため、アノードからの正孔の一部はゲートに向かって流れています。

 ゲートの負電圧のため、ゲート電極付近のn2/p2接合とp2/n1接合には少しだけ空乏層が生じています(斜線で示す部分)。しかしこの程度では素子がオフになるようなことはまったくありません。

 さらにゲート電圧をマイナスに大きくしてみます。その様子を示したのが図Bです。ここではゲート電圧が−10Vとなっています。こうなると図Aの場合よりも空乏層が大きくカソード電極の下側に延びてきています。言い換えればp2/n1接合の降伏状態がかなり解消されてきています。このためアノード−カソード間の電流はかなり制限されるようになります。しかしp2/n1接合はまだ一部が降伏状態を保っていて、素子がオフになるには至っていません。

 オフにするにはさらにゲート電圧をマイナスに大きくすればいいように思われます。しかしそうすると図Bからもわかるように、アノード−カソード間の電子、正孔の通り道が狭くなり、電流が狭い範囲に制限され集中します。このため集中した電流による加熱が起こり、接合が本当に破壊してしまうこともあり得ます。あまりゲート電圧を大きくすることは現実的ではないと言えます。

 それではどうするか。図Bではカソード電極がゲート電極よりずっと広く描かれています。もしカソード電極をゲート電極と同じくらいの面積にするとどうなるでしょうか。図からわかるようにカソード電極がゲート電極と近いところにあって小さければ、空乏層は十分カソード直下に十分広がっており、オフ状態が実現できると考えられます。

 単にカソード電極を狭くしてしまうと、大きなアノード電流を流しにくくなってしまいます。そこで工夫されたのが、図Cのような電極の形です。カソード電極とゲート電極を同じくらいの面積にし、かつゲート電極の領域とカソード電極の領域が遠くならないように入り組んだ形にしてあります。下の断面図からわかるように、ゲート電極とカソード電極は交互に近接していることになります。こうすることにより、空乏層が比較的低いゲート電圧でもカソード直下に延び、素子をオフにできるようになります。電極の形はその後いろいろ工夫され、もっと洗練された形が提案されています。
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 このようなゲート電圧をマイナスにすることによってアノード電流をオフにできるサイリスタをゲートターンオフサイリスタと呼んでいます。ゲートターンオフ(Gate Turn-Off)の頭文字をとってGTOサイリスタあるいは単にGTOという呼び方も一般によく使われています。

 このGTOは歴史的にはサイリスタが実用化するのと時を同じくして開発されたようで、1960年代前半には特許が出されています。例えば特公昭39-26004号(ウエスティングハウス社、1961年出願)や特公昭42-1220号(ゼネラルエレクトリック社、1963年出願)などがあります。これらには理論的検討も記載されていますが、ここでは省略します。

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