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zoom RSS 電界吸収型光変調素子

<<   作成日時 : 2016/10/31 21:27   >>

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 前回、近年半導体を用いた実用的な光変調素子が登場したと言いましたが、これが今回取り上げる電界吸収型光変調素子です。

 光の強度を変調する素子は入力電気信号にしたがって変動する光信号を出力する素子です。もっとも単純には電気信号によって入力される定常光を遮断できればよいので、原理的には機械的なシャッタをオンオフするのと同じです。しかしこれでは速度が遅過ぎるので、可動部のない電子的な素子が必要とされます。。

 半導体の光吸収を電気信号によって高速にコントロールできればこの目的は達せられます。半導体の光吸収が変化する現象はいくつか知られています。そのなかで近年、量子井戸が作られるようになって発見された現象があります。これは量子閉じ込めシュタルク効果と呼ばれる現象です。

この現象については次回以降に説明したいと思いますが、その特性の概略だけ示しておきます。図Aは量子井戸の光吸収スペクトルの概要を示しています。横軸は波長、縦軸は吸収係数です。印加電界のないとき(実線)と電界を印加したとき(破線)は吸収が起こり始める波長付近(吸収端といいます)での特性が大きく異なっているのがわかります。
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 ここで光の波長を図示されているλに固定すると、電界の有無で光の吸収が変化し、電界印加のないときは光が通過できませんが、電界を印加すると光が通過できるようになることが分かります。

 この原理を光ファイバ通信分野で用いる光変調素子として実現するために、どのような素子構造をとればよいかについては1980年代の半ば以降に多くの提案がなされています。

 図Bは面型素子の一例です(特開昭61-173218より)。波長1.5μmの光に対する光吸収層としてはたらくのはInGaAlAs量子井戸層4です。量子井戸層は井戸層と障壁層を積層したものですが、この例ではこの両方の層をInGaAlAsの組成を変えることによって実現しています。
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この量子井戸はノンドープですが、これをはさむInP層2はn型、InP層5はp型でpin構造をとっています。したがって電極7は陰極、電極8は陽極となります。この電極間に電圧を印加すると量子井戸の光吸収が変化します。応答時間は1ns以下と高速です。

 この素子構造では光は量子井戸の層に直交するように入射します。量子井戸の層は多重にしたとしてもとても薄いので光はごく短い距離しか作用を受けません。このため光吸収係数が大きく変化したとしても(この場合、光の透過率は5×104V/cmの電界に対して70%から30%に変化したと記されています)吸収されずに通過してしまう光の割合が大きくなってしまいます。これは光変調された信号のオンオフ比(変調深度ということがあります)が十分大きくとれないという難点となります。

 これを改善するためには光を量子井戸層に平行に入射するという方法が考えられます。このとき量子井戸層の両側の層の屈折率を量子井戸のそれより小さくしておけば、導波路が実現され光は量子井戸層に閉じ込められるので、好都合です。
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 この導波路構造をもった光変調器の例を図Cに示します(特開昭62-191822)。基本的な構造は図Bの場合と同じですが、光は層に平行に通過するように設定されています。この場合、光が量子井戸と相互作用する距離が長くとれるので、変調深度は大きく改善されます。

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