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zoom RSS 屈折率変化を利用した光変調

<<   作成日時 : 2017/04/30 17:20   >>

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 前回まで半導体の光吸収特性の変化を利用した光変調素子について紹介してきました。これ以外の原理を使った光変調としては、屈折率の変化を使ったものがあります。こちらは半導体よりもむしろ誘電体、とくに強誘電体を使った素子が長く研究され一部実用化したものもあります。

 この屈折率変化を利用した光変調には原理の異なる多くの種類が提案されてきました。また屈折率の変化が起こる物理現象もいろいろあります。半導体に適用できるものを以後取り上げます。

 まず屈折率変化を利用する光変調(強度変調)の原理と手段を整理しておきます。

1.光変調の原理による分類
(1)反射を利用するもの
 2つの屈折率の違う物質が接している場合、屈折率の大きい側から光が入射されるとその入射角が臨界角より大きいと全反射が起き、小さいと起きません。そこで一方の側の屈折率を変化させて臨界角を制御すると光変調ができます。光変調素子として便利な導波路型では図Aのような交差導波路を利用するものがあります。交差部分の屈折率制御部は以下に紹介する何らかの手段によって屈折率を変化できるようにした部分です。一方の導波路1から入射した光を公差部で全反射させた場合、導波路4へ導波光が伝搬するようにし、また反射させずに透過させた場合、導波路3に光が伝搬するようにすると、屈折率制御部へ入力する信号によって導波路3(または導波路4)から出射する光の強度が変調できます。入射側は1つの導波路1しか使わないので、導波路2を省いたY字型の導波路にすることもできます。
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(2)光の干渉を利用するもの
 光は波の性質をもっていますから、位相をもっています。位相の同じ2つの波が重なると強めあいますが、位相が180°異なる2つの波が重なると相殺されてしまうという干渉という性質があります。そこで光の位相を制御すれば、光をオンオフ(強度変調)できることがわかります。光は伝搬する媒体の屈折率が変わると位相が変化しますから、媒体の屈折率変化を利用して光変調ができることになります。

代表例としては図Bのような導波路を用いて光変調器が構成できます(図は模式的に折れ線状の導波路で示していますが、実際には滑らにつながった曲線導波路を用います)。このような2分岐した光路を再び合流させて干渉を起こさせる系をマッハ−ツェンダ(Mach-Zehnder)干渉計と呼んでいます。導波路1から入射した光を2つに分け、分岐した一方の枝導波路1の屈折率を変化させて通過する光の位相を変化させます。他方の枝導波路2はそのまま通過させ、2つの光を再び合流させ、導波路2から出射させます。2つの枝導波路を通過した光の位相が等しければ、導波路2から出射される光の強度は強く、2つの光の位相が180°ずれていれば、出射される光の強度はほぼ0になります。
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(3)導波路の閉じ込めを利用するもの
  導波路はコアの屈折率をクラッドの屈折率より高くすることによってコア内に光を閉じ込めます。コアとクラッドの屈折率差を変えると導波路への閉じ込めの強さが変わります。屈折率差が小さくなると光のエネルギーの一部がクラッド内へ漏れるようになります。この現象を利用して光変調をすることができます。図Cのように平行な2本の導波路を近接させます。これを方向性結合器と呼んでいます。そして導波路か導波路間のクラッド部分の屈折率を変化させます。一方の導波路1から入射した光はその導波路に閉じ込められている場合はそのまま導波路3へ伝搬しますが、導波路の閉じ込めが弱いと光は導波路が近接した部分で他方へ乗り移りそちら側の導波路4から出力されます。導波路3か4を出力導波路とすれば変調された光出力を得ることができます。
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2. 屈折率を変化させる手段による分類
(1)電界(電気光学効果)
 誘電体や半導体の結晶に電界が印加されるとその結晶構造と電界の方向によって屈折率が変化する現象です。ニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの誘電体がよく知られていますが、GaAsなどの半導体も利用することができます。

(2)電流(キャリア注入効果)
 半導体特有の効果です。半導体に電流を流してキャリアを注入し、伝導帯、価電子帯をキャリアで充満させてしまうと、光を照射しても新たにキャリアが生成し難くなります、すなわち光吸収が起き難くなります。これはむしろ前回まで紹介した吸収の変化に属する現象と言えます。しかし後で紹介しますが、吸収の変化と屈折率の変化は対応しています。ここでは屈折率変化の現象として取り上げます。

(3)磁界(磁気光学効果)
結晶に磁場を加えると屈折率が変化する現象があります。ただし物質の磁性と関わりがあるため、顕著な効果をもつ材料は限られます。半導体が対象になることはほとんどありません。

(4)温度(熱光学効果)
ほぼどんな固体でも屈折率は温度依存性をもっていますから、温度によって屈折率を制御できます。

(5)応力(音響光学効果)
 結晶に応力を加えると屈折率が変化します。応力を加えるのによく使われる手段は超音波です。超音波を結晶表面に伝搬させるとその波動の強弱にしたがって応力の強弱が発生し、これが伝搬します。この波を表面弾性波(surface acostic wave, SAW)と言います。これを伝搬させると、結晶表面に周期的な応力変化部分ができ、それにしたがって屈折率が周期的に変化した状態ができます。これは回折格子ですから、そこに光を入射させると回折格子による反射が起こります。この回折格子は表面弾性波が伝搬しているときだけ発生しますから、全反射の場合と同様に変調が可能です。結晶として半導体が使われる場合もあります。

(6)光(非線形光学効果、フォトリフラクティブ効果)
 光を照射することによって屈折率を変化させることができます。原理の異なるいくつかの効果があります。光は電磁波ですから物質に入射すると原子と相互作用を起こします。上記の電気光学効果は直流電界による効果でしたが、電磁波の場合が非線形光学効果です。ほとんど材料を選びませんが、かなり強度の大きい光が必要です。

 フォトリフラクティブ効果というのはつぎのような少し特殊な効果です。場所によって強度が周期的に変化する光を結晶に照射した場合、光の当たっている部分と当たっていない部分でキャリア濃度が異なります。これによって周期的な電界が発生し、電気光学効果によって屈折率の周期的な変化すなわち回折格子ができるというものです。

 以上から1×2の組み合わせによる光変調素子が可能性としては考えられ極めて多岐にわたります。ここではこのうち半導体によって実現できる代表的なものを取り上げていきます。

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