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zoom RSS 複素屈折率(その1)

<<   作成日時 : 2017/07/24 21:34  

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 前回のスネルの法則などの話で扱われている屈折率は実数ですが、今後の議論を進めていくうえでは、屈折率を複素数として考える必要があります。前回、屈折率と誘電率の関係を示しましたが、複素屈折率を導入するために複素誘電率をまず考えます。これには誘電体を用いたコンデンサを含む交流回路の議論から入るのがよいかと思われます。

 静電容量Cのコンデンサに電圧Vを印加した場合
  
で表される電荷Qがコンデンサの電極に蓄えられます。コンデンサが平行な平板電極をもち、電極間に誘電率εの誘電体が挟まれている場合、コンデンサの静電容量Cは
  
と表せます。ここでdは電極間の距離、Aは電極面積です。平行平板電極でない構造のコンデンサでは式の形が少し変わってきますが、以下の考え方は変わりません。

 さて真空の誘電率ε0の値は
  
ですが、その他の誘電体の誘電率εを
  
と表し、εrを比誘電率と呼びます。誘電率がいくつという場合、この比誘電率の値を言う場合が多いようですが、比誘電率は1より大きい無次元の数になりますから、生の誘電率の値を使うより簡単で便利です。

 ところでマックスウェルの方程式での誘電率の定義は
  
です。ここでDは電束密度または電気変位と呼ばれます。この式は
  
と書き換えられます。ここでPは分極です。上式は、一般の誘電体の誘電率が真空の場合より大きくなるのは誘電体に分極が生じるためであることを示しています。

 さて、ここでこのコンデンサに交流電圧を印加する場合を考えます。交流電圧は電圧が時間とともに正弦波状に変化する場合を考えます。この場合、複素数を導入し、電圧Vを
  
と書くのが便利です。ここで複素数が導入されるわけですが、実際の電圧変化はその実部をとって
  
となります。ここでオイラーの関係式
  
を用いています。この電圧を容量C0の真空コンデンサに印加したとき、流れる電流Iは交流回路理論によれば
  
と書けます。電流が純虚数になるのは電流の位相が電圧の位相と90°異なることを表します。

 誘電率εの誘電体をコンデンサの電極間に挿入する場合、実際の誘電体では位相の変化は90°より小さくなります。これは誘電体の分極や抵抗成分によるリーク電流によります。等価回路として考えると、リークのないコンデンサCとリークを表す抵抗分Rが並列接続されていると考えられ、図のようになります。
画像

この回路を流れる電流Iは
  
と表されます。

ここで比誘電率を複素数で表し、
  
と書き、これを複素比誘電率と呼びます。この複素比誘電率εr*を使うと、電流は
  
   
と書けることになります。ここで虚数部は誘電損失を表します。

 前回示した誘電率と屈折率の関係は
  
でしたが、これを複素数に拡張すれば、
  
です。ここで
  
と書き、これを複素屈折率とします。

 今回はここまでにします。次回は複素屈折率の中身についてもう少し付け加えます。

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