ダブルヘテロ構造
前回の特許調査で見つかった特許2560963号、2560964号をもう一度見てみましょう。n型のGaNとp型のGaNの間にInGaNという混晶を挟んだ構造、すなわちダブルヘテロ構造が書かれています。発光ダイオードにこのようなダブルヘテロ構造を用いることはすでに知られていて、AlGaAs系の赤色発光ダイオードとして実用に付されています。
ヘテロ接合とは異なる種類の半導体の接合ですが、とくにエネルギーバンドギャップの違いが重要です。GaNのエネルギーバンドギャップは約3.4eVです。eVは電子ボルト(エレクトロンボルト)というエネルギーの単位です。1個の電子がもつ電荷を単位電荷といいますが、この単位電荷を1ボルトの電位差だけ持ち上げるのに必要なエネルギーが1eVです。3.4eVのエネルギーは光の波長に直すと350nmくらいで、これは紫色の波長範囲に当たります。InNのエネルギーバンドギャップは2eVくらいです。これは波長に直すと600nmくらいで、燈色です。ですからInGaNの混晶を使って、Inの組成比を増やしていくと発光する光の色は紫色→青色→緑色→黄色→橙色と変えられることがわかります。
ところで、エネルギーバンドギャップの値を比べてみるとGaNの方がInNより大きいことがわかります。InGaNはこの間に入りますから、InNよりは大きくGaNよりは小さいことになります。そこでInGaNをGaNでサンドイッチするとどうなるかと言いますと、図を見て下さい。真ん中のInGaN層はエネルギーでみるとへこんだ部分になります。
n型のGaNとp型のGaNの間にInGaNをはさんだダブルヘテロ構造に電圧をかけて電流を流してみます。電子はn型のGaN側から尖ったスパイク部分を越えてInGaN層に流れ込みますが、p型GaN層側には高い障壁があって流れ込めずに堰き止められてしまいます。一方、正孔はp型GaN側からInGaN層に流れ込みますが、同じようにn型GaN層には流れ込めません。
このためInGaN層に電子と正孔が貯まることになり、電子は近くにいる正孔に引き寄せられて結合しやすくなります。供給される電子と正孔のほとんどがこのInGaN層内で結合し、光を出すことになります。無駄になる電子、正孔が少ないため、同じ電流でもシングルヘテロ構造の場合より強い発光が起こることになります。これがダブルヘテロ構造を使う利点です。
ところでGaNとInNの格子定数(並んでいる原子の間の距離)は13%くらいInNの方が大きい値をもっています。このため、GaN結晶膜の上にInGaN結晶膜を積層する場合、Inの組成比が小さいうちはいいのですが、組成比が大きくなりInNに近づいてくるとInGaNの結晶に乱れが生じやすくなるようです。このため、原理的には紫色から橙色まで広い可視光の範囲をInGaNの混晶でカバーできるのですが、実際には緑色くらいまでが限度です。上記の特許の実施例には、Inの組成比が0.15のとき、発光波長は490nm、0.25のとき510nmであったと書かれています。490nmは青緑色、510nmは緑色に相当します。
AlNはどうかというと、こちらはエネルギーバンドギャップは6eVくらいと非常に大きくなっています。波長にすると200nmくらいですから完全な紫外線の範囲です。ところがInNとちがって格子定数はGaNとあまり変わりません。このためAlの組成比を自由に変えてGaNまたはAlGaAsとのヘテロ接合が作れることになります。この点はGaAsとAlGaAsの関係とよく似ています。組成比のちがうAlGaNを組み合わせたヘテロ接合により紫外線を出す発光ダイオードを作ることができるわけです。
ヘテロ接合とは異なる種類の半導体の接合ですが、とくにエネルギーバンドギャップの違いが重要です。GaNのエネルギーバンドギャップは約3.4eVです。eVは電子ボルト(エレクトロンボルト)というエネルギーの単位です。1個の電子がもつ電荷を単位電荷といいますが、この単位電荷を1ボルトの電位差だけ持ち上げるのに必要なエネルギーが1eVです。3.4eVのエネルギーは光の波長に直すと350nmくらいで、これは紫色の波長範囲に当たります。InNのエネルギーバンドギャップは2eVくらいです。これは波長に直すと600nmくらいで、燈色です。ですからInGaNの混晶を使って、Inの組成比を増やしていくと発光する光の色は紫色→青色→緑色→黄色→橙色と変えられることがわかります。
ところで、エネルギーバンドギャップの値を比べてみるとGaNの方がInNより大きいことがわかります。InGaNはこの間に入りますから、InNよりは大きくGaNよりは小さいことになります。そこでInGaNをGaNでサンドイッチするとどうなるかと言いますと、図を見て下さい。真ん中のInGaN層はエネルギーでみるとへこんだ部分になります。
n型のGaNとp型のGaNの間にInGaNをはさんだダブルヘテロ構造に電圧をかけて電流を流してみます。電子はn型のGaN側から尖ったスパイク部分を越えてInGaN層に流れ込みますが、p型GaN層側には高い障壁があって流れ込めずに堰き止められてしまいます。一方、正孔はp型GaN側からInGaN層に流れ込みますが、同じようにn型GaN層には流れ込めません。
このためInGaN層に電子と正孔が貯まることになり、電子は近くにいる正孔に引き寄せられて結合しやすくなります。供給される電子と正孔のほとんどがこのInGaN層内で結合し、光を出すことになります。無駄になる電子、正孔が少ないため、同じ電流でもシングルヘテロ構造の場合より強い発光が起こることになります。これがダブルヘテロ構造を使う利点です。
ところでGaNとInNの格子定数(並んでいる原子の間の距離)は13%くらいInNの方が大きい値をもっています。このため、GaN結晶膜の上にInGaN結晶膜を積層する場合、Inの組成比が小さいうちはいいのですが、組成比が大きくなりInNに近づいてくるとInGaNの結晶に乱れが生じやすくなるようです。このため、原理的には紫色から橙色まで広い可視光の範囲をInGaNの混晶でカバーできるのですが、実際には緑色くらいまでが限度です。上記の特許の実施例には、Inの組成比が0.15のとき、発光波長は490nm、0.25のとき510nmであったと書かれています。490nmは青緑色、510nmは緑色に相当します。
AlNはどうかというと、こちらはエネルギーバンドギャップは6eVくらいと非常に大きくなっています。波長にすると200nmくらいですから完全な紫外線の範囲です。ところがInNとちがって格子定数はGaNとあまり変わりません。このためAlの組成比を自由に変えてGaNまたはAlGaAsとのヘテロ接合が作れることになります。この点はGaAsとAlGaAsの関係とよく似ています。組成比のちがうAlGaNを組み合わせたヘテロ接合により紫外線を出す発光ダイオードを作ることができるわけです。

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