輸出規制3品目

 韓国向け輸出規制の対象品目が半導体関連材料だということで、改めてどんな物かを備忘録的にまとめてみました。

経産省のホームページに「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」という1ページの通達が載っていて、そこに特定品目として、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3つが挙げられています。とくにこれ以上の説明はなく、一般の報道を越える情報は得られません。

 以下にこの3品目がどんなものか、書き留めておきます。

1. フッ化ポリイミド
 これは樹脂の一般名称です。分子式、分子構造的には複数の物質がこのなかに含まれます。ポリイミドという樹脂は一般に耐熱性の高い熱硬化性樹脂として知られています。製品としてはデュポン社のカプトン(Kapton)がもっとも早くから知られていますが、熱分解温度が400~500℃とされています。
このカプトンもそうですが、ポリイミドは一般に赤褐色などに着色しています。樹脂の使用目的によってはこれが嫌われる場合がありますが、フッ素の導入によりこれを無色にできます。またフッ素樹脂は一般に誘電率が低いという特徴があり、フッ化ポリイミドは一般のポリイミドより誘電率が低いという特徴があります。
以上よりフッ化ポリイミドは無色で誘電率の低い耐熱性樹脂ということになります。無色という特徴はディスプレイなど光学的な用途に適し、低誘電率という特徴は回路基板など電気的用途にも適するということになります。
 日本の化学メーカーが大部分を供給しているとされています。

2. レジスト
 半導体関連ということからフォトレジストの意味で使われていると思われます。半導体の微細加工には欠かせないフォトリソグラフィーに使用される感光性有機材料です。紫外線が当たると分子構造が変化し、その部分だけ特定の溶剤に溶けるようになったり、逆にその部分だけ溶けなくなったりします。この性質を利用して半導体上に微細なパターンを作る際に表面を覆うマスクとして使われます。フォトレジストが取り去られた部分は半導体表面が露出するので、この部分にだけ加工を施すことができます。
製品としては多くの種類があり、加工工程にあった製品を選択できます。日本のメーカーがその大部分を供給しています。

3. フッ化水素
 化学式はHFで、ガラスを溶かす数少ない材料として知られています。半導体工業上、とくに集積回路の製造にとってはシリコンの酸化物であるSiO膜を加工、除去するために重要な薬品です。多くは水に溶かして使われます。この水溶液はフッ化水素酸、略してフッ酸と呼ばれます。水に溶かしていないものを無水フッ化水素と言いますが、これも常温で液体です。無水フッ酸と書かれていることもありますが、これは本当はおかしいと思います。
 ガラスを溶解するため、ガラスビンは使えず、樹脂の容器が使われます。反応性が高くヒトの皮膚も溶かすため、取り扱いには皮膚や眼の防護が必要で毒物に指定されています。
 古くから知られた物質で特殊なものではありませんが、半導体工業用としては純度の高いものが求められます。純度ファイブナイン(99.999%)のものは日本企業しか供給できないとされています。

 とくに2番目と3番目は半導体工業にとってなくてはならない基本的な材料で、これらの日本企業のシェアが大きいことの意味は大きいと思います。ただ日本は重油や鉄鉱石のような基幹となる資源がなく、これらのほとんどすべてを輸入に頼っていることを昔から変わっていません。日本だけでなく今やどの国も他国と互いに依存しあって生きているので、他国との協調を保つ努力がなにより大事かと思われます。

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