トンネルダイオードの応用(発振回路)

 最初に紹介した江崎特許(特公昭35-6326)にもトンネルダイオードの応用として図Aのような発振回路が記載されています。今回はこの発振回路について調べてみます。  発振回路とは直流電源から交流電流を発生させる回路です。もちろんトンネルダイオードに固有のものではなく、いろいろな原理の回路が知られていますが、ここでは特許の回路に沿っ…
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トンネル電流

 トンネルダイオードのpn接合に流れる電流の理論を考えてきましたが、今回ようやく最終的な電流の式を導きます。  トンネル電流は基本的に電位障壁に流入する電子の流れと電子が障壁を透過(トンネル)する確率の積で表されます。流入電流はすでに考察した固体中を流れる電流ですが、以前に検討したような衝突項は敢えて考えません。なぜなら障壁が電子…
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トンネル確率(その2、モデル計算)

 以前に求めたトンネル確率はポテンシャルが各部で一定な場合でした。ポテンシャルが位置に対して変化する場合も考え方は同じですが、境界条件が定めにくい場合などはやや近似的に考える必要があります。  まず図Aのような任意のx方向に変化するポテンシャル障壁を考えます。電子のエネルギーεはxがaからbの間で障壁のポテンシャルV(x)より小さ…
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トンネル確率(その1、WKB法)

 トンネルダイオ^ドを流れる電流は基本的には接合に流れ込む電流とトンネル確率の積で表されます。前回まで電子の流れについての理論は、この接合に流れ込む電流を解析することを目的としたものでした。そこでつぎにトンネル確率を求める必要があります。  このトンネル確率についてはもっとも簡単な場合、すなわち高さが一定のポテンシャル障壁がある場…
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電流の表式

 今回はボルツマン方程式から電流の式を導出します。まず前回のボルツマン方程式を再掲します。   (1)  電流は定常電流を考えます。定常状態では    ですから、     (2) という関係が成り立ちます。  ここで衝突項として古典論で採用した緩和時間τを用いた形が分布関数fの変化に対しても成り立つを仮定して  …
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固体中の電子に関するボルツマン方程式

 前々回、前回の記事には記号などに不備がありましたので、少し修正しました。今回はその続きで、前回の準備をもとにボルツマン方程式を導きます。前回説明したように波数kとΔkの範囲にある電子の数Nは熱平衡状態において   (1) となります。ただしf0は前々回の(6)式の熱平衡状態のフェルミ分布です。 このf0が電界Eにより変化した…
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k空間

 前回登場したボルツマン方程式を使って固体中の電気伝導を解析するためには少し準備が必要です。少し回り道になりますが、今回はそれをやります。  前回のフェルミ分布の図は横軸が波数kでした。このkがどこからきたのかを考えます。  以前に量子力学の自由電子モデルについて紹介をしています。ここでは一部繰り返しになりますが、必要な点を…
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固体中の電子伝導

 長く更新が滞りましたが、再開します。  前回のトンネルダイオードを流れる電流の理論を紹介するつもりでいましたが、そのベースになる固体(とくに半導体)中の電子の伝導現象についてきちんと取り上げていないことに気付きました。そこで少し回り道になりますが、この機会に調べてみることにしました。  以前の記事で電子の運動が古典力学(ニ…
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トンネルダイオード

 今回はトンネルダイオードを取り上げます。このトンネルダイオードは前回紹介したトンネル効果を応用したデバイスですが、一つのpn接合からなる単純なダイオード素子です。エサキダイオードとも呼ばれ、言うまでもなく江崎玲於奈博士によって初めて開発され、後年ノーベル物理学賞(1973年)の対象となったことはよく知られる通りです。  この発明…
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量子障壁(その2)

 障壁の高さVと電子のエネルギーEがE  (20) とおきます。γはつぎのような実数です。     (20)式を使って(10)、(13)式のβを置き換えると        これより同様にE     ここでsinhは双曲線関数で       です。  EとVを使った(17)、(18)式に対応する式は…
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量子障壁(その1)

今回は前回の量子井戸とは反対にポテンシャルエネルギーに出っ張りがある場合の波動関数を考えます。1次元のモデルは図Aのように示されます。  この場合、シュレディンガー方程式(前回の(1)式)の解は3つの領域に分けてつぎのように表されると考えられます。     (1)     (2)     (3) ただしα、βは前回同様で …
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量子井戸

 具体的なデバイスの話をする前にこれまで積み残してきた基本理論についてこの機会にまとめておきたいと思います。いずれも教科書に載っている話ですが、このサイト内で参照できるようにするためのものです。  まず数回は典型的なシュレディンガー方程式の解についてまとめます。今回は一次元のポテンシャル井戸についてです。つまりポテンシャルエネルギ…
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今後について

 大きなテーマだった発光ダイオードが終わり、主要な半導体デバイスはほぼカバーされたかと思います。今後どうするか考え中ですが、とりあえずはややマイナーなデバイスでこれまでの主要デバイスに含まれていないものを少しずつ見ていこうかと思います。電子デバイスではサイリスタ、トンネルダイオード、ガンダイオードなど、光デバイスでは光変調素子などが思い…
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発光ダイオード関連の特許分類 -まとめに代えて-

 前回までで長きに渡った発光ダイオードに関する話は終わりにします。重要な事項は網羅したつもりですが、不十分な点も多々残っているかと思います。そのような点については機会を捉えて追加していきたいと思います。いつものように最後に特許分類の概要をまとめておきます。  発光ダイオードのFIはH01L33/00以下です。ただしエレクトロルミネ…
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劣化の防止

 有機材料の宿命ともいえるのは特性が劣化しやすいことです。水分や酸素など大気中にあるものの作用が原因となる場合や熱による場合もあります。つまり耐候性に問題があります。有機ELの実用化に際してもこの問題は避けて通れない課題で、無機LEDに比べてより厳重な対策が必要です。 1.素子のシール まず常套手段として行われる手段は、外気から…
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フルカラー有機EL表示装置

 有機ELの主要な用途には照明と並んでフルカラーのディスプレイがあります。フルカラーの平面ディスプレイと言えば、現状では液晶ディスプレイが主流となっていますが、LED方式も台頭してきています。これらについては過去にも触れていますが、ここでもう一度、有機ELを含めて比較整理してみたいと思います。  フルカラーの平面ディスプレイすべて…
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白色発光EL

 少し話が前後しますが、有機ELの発光色について取り上げることにします。有機分子の発光色を予測するには分子軌道法によって一重項、三重項のHOMOとLUMOを計算すればよいわけですが、この計算を行うには対象とする分子を指定しなければなりません。しかし分子の種類は膨大ですから、ある程度は経験的に当たりを付けることが必要と思われます。また実際…
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有機EL素子におけるキャリア輸送(その3)

 有機ELの発光を効率的に起こすためには、電極からキャリアが注入されやすくする必要があります。無機半導体の場合は、電極と半導体をほぼ障壁のないオーミック接触にするという手段がとられますが、有機分子に対してオーミック接触を実現することは難しいと思われます。  そこで基本的には電極界面に障壁ができるのは止むを得ないとし、この障壁をでき…
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有機EL素子におけるキャリア輸送(その2)

 前回、有機分子が電子供与性、電子吸引性になる理由を考えましたが、有機ELにおけるキャリア輸送はこれだけで決まるわけではありません。  固体に電界Eを印加したとき、流れる電流密度iは次式で表されます。     (1) ここでqは電子電荷、nはキャリア濃度、μはキャリアの移動度です。 電流が流れやすいためには(1)式からキ…
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有機EL素子におけるキャリア輸送(その1)

 本記事は2月3日にアップしましたが、不備やわかりにくいところがあったので、書き直しました。  前回は発光層について説明をしましたが、有機ELにおいてはこの発光層に加えて正孔輸送層あるいは電子輸送層が設けられます。これらの層の役割は電極から注入されたキャリアを発光層へ運ぶことです。  前々回にも触れた正孔輸送層、電子輸送層に…
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