ドープ型発光層による発光効率の向上

 イーストマンコダック社が開発した有機ELは基本的に蛍光を利用したものでした。これは多くの分子の基底状態が一重項であるためです。外部から注入される電子のうち一重項励起状態にあるものが基底状態に落ちて発光します。三重項励起状態になるものもあるのですが、これがエネルギーを失う場合、多くの分子ではリン光を発生せず熱エネルギーになってしまうため…
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電子輸送層と正孔輸送層

 前回まで有機分子の発光のメカニズムを調べてきましたが、これを基礎に有機エレクトロルミネセンス(有機EL)の動作について取り上げていきます。  すでに概略の層構造については紹介しましたので、少し重複しますがまずは素子の全体構造を説明し、次いで個々の部分に入っていこうと思います。  有機ELの発光は、無機結晶半導体LEDと違っ…
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一重項、三重項

 有機分子の発光は、LUMOにいる励起された電子がHOMOに落ち、エネルギーを放出することによって起こるということはこれまで説明した通りです。ところが、分子におけるHOMOとLUMOの構造はもう少し複雑です。今回はそれを取り上げます。  これまでにも述べたように、同一の分子軌道にはスピン量子数の異なる2個の電子が入ることができます…
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イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度

 HOMOからLUMOへ励起された電子がエネルギーを失うときに発光が生じるという基本的な原理はおおよそおわかりいただいたと思いますが、有機ELでは電極から電流を注入することによって電子と正孔を供給します。そのメカニズムをもう少し調べる必要があります。  まずHOMOにある電子にエネルギーを与えて原子の束縛から解放することを考えます…
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フロンティア軌道

 前回紹介した「実践 量子化学入門」を参照して、エチレンの分子軌道計算の例を紹介します。エチレン分子は以下のような分子式をもっていて 炭素2個と水素4個からなっています。炭素原子は4個の価電子をもち、水素原子は1個の価電子をもっていますから、エチレン分子は4×2+1×4=12個の原子軌道が組み合わさった分子軌道をもっていることにな…
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分子軌道法(その3)

 前回、分子軌道法の基本的な考え方を水素原子2個が結合した水素分子をモデルにして説明しました。この考え方は原子数、電子数のもっと多い分子にも適用できそうに思われます。なぜなら電子をn個もつ分子の分子軌道関数を と表すのが分子軌道法の基本的考え方だからです。ここで1~nの数字はその分子がもつn個の分子軌道のそれぞれを表します。係数C…
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分子軌道法(その2)

 分子軌道関数とそれに対応するエネルギーEを実際に求める方法を今回調べます。求める方法の根本的な考え方はつぎの通りです。  まずエネルギーEの表式をもう一度掲げます。      (1) ただし表記を簡単にするために       という置き換えを行っています。  前回も説明したように各原子軌道関数の重み係数であるa、…
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分子軌道法(その1)

 複数の原子が結合した分子がもつ多数の電子からなる系の波動関数つまり分子軌道関数は、もっとも簡単な水素分子についてさえ、解析解を求めることができません。しかしそれでは分子の性質を予測、解明することができないので、近似解でよいので何らかの方法で求める必要があります。  どういう近似の仕方があるか、水素分子の場合を例に考えてみます。も…
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分子

 分子の話に入ります。分子とは複数の原子が結合したものですが、この結合の仕方には複数あります。  例えば、正イオンになりやすいNaと負イオンになりやすいClとは電気的引力(クーロン力)によって結合しNaCl分子を作りますが、これはイオン結合と呼ばれます。しかし水素分子H2とか酸素分子O2などは同じ原子が結合しているので、これは電気…
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電子配置

 いかなる原子も原子核の陽子の数と同じ数の電子をもっています。この電子は前回説明した軌道のどれかに入っています。どの軌道に入るかには規則があり、各原子の基底状態で電子がどの軌道に入っているかは決まっています。これを電子配置といいます。  まず第1の規則はパウリの排他原理と呼ばれるものです。この規則は 「電子はエネルギーの低い軌道…
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原子軌道とエネルギー

 大分間が開いてしまいましたが、有機分子の発光がどのようにして起きるのか、その物理を調べていきます。  分子は複数の原子核とその周りの電子からできていますが、この電子がどのような状態になっているかを知ることによってどのような発光が生じるかわかるはずです。これには量子力学が必要です。 半導体結晶を考えるために「孤立した原子から…
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有機ELと化合物半導体LED

 前回はイーストマンコダック社によって提案された有機ELについて、その概要を紹介しました。その後、これをベースに多くの機関によって改良研究が行われ、現在の有機ELに至っています。  よく用いられている基本的な層構造は図Aのような3層構造です(WO2008/015949より)。化合物半導体のLEDで言えば、ダブルヘテロ構造に相当する…
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有機エレクトロルミネセンス素子

 今回から有機材料を用いたエレクトロルミネセンス(EL)素子について考えていくことにします。  歴史的にみると、前回まで取り上げてきた無機材料をベースにしたEL素子からそれほど遅れずに、同じような構造で無機材料を有機材料に置き換えたEL素子は提案されています。例えばアメリカのダウ・ケミカル社は1960年代初めにアントラセンにテトラ…
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カラーELディスプレイ

 電界発光素子の発光色についてはこれまで触れませんでしたが、今回これを取り上げます。もちろんRGBの三原色が得られれば、フルカラーディスプレイが実現できることになるので、大変重要な課題です。  発光ダイオードでは青色発光の実現が最後に残ったわけですが、電界発光素子ではむしろ青色発光が得意で、長波長の赤色等が後に残ったとも言えます。…
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電界発光素子

 前回紹介したように、最初に電界発光が確認されたのは液体中に蛍光体粒子を分散した発光層でした。しかし液体を使うのは何といっても不便ですから、すべてを固体化しようという考えは自然の流れです。間もなく固体層中に蛍光体粒子を分散した素子が開発されました。これを分散型電界発光素子と呼びます。  図Aはこの分散型電界発光素子の積層構造を示す…
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エレクトロルミネッセンス素子

 今回から発光素子の一つであるエレクトロルミネッセンス(EL)素子について調べていくことにします。主な関心は最近実用レベルに達した有機EL素子にありますが、同じ発光素子の発光ダイオードとはどう違うのかを考えるために、少し歴史を振り返りながら話を進めたいと思います。  エレクトロルミネッセンス(electroluminescence…
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発光ダイオードを作る方法(基板の問題)

 前回、発光ダイオードを作る手順について紹介しました。その第一段階は、 「発光層などの半導体の積層構造を基板上に作る」 ことでした。ここでいう「発光層などの半導体の積層構造」は高い効率で発光を起こさせるために欠陥の少ない結晶層であることが求められます。  基板の上に単結晶の積層構造を作るにはエピタキシー(日本語に適当な訳語はな…
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発光ダイオードを作る方法(標準的な手順)

 発光ダイオードの製造方法については折に触れて紹介してきましたが、全体を通しての工程(プロセス)については説明する機会がなかったようです。今回はその辺りに触れておきます。  発光ダイオードは比較的単純な構造なので、製造プロセスはそれほど複雑ではありません。基本的には  1.発光層などの半導体の積層構造を基板上に作る。  2.こ…
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変圧回路(その3)

 少し立ち入り過ぎのきらいがありますが、もう少しDC-DCコンバータについて話を続けます。  前回は自己誘導を使った回路例を紹介しましたが、その他に相互誘導を使った回路も使われています。相互誘導とは図Aのように2つのコイルを使い、一方のコイルの誘導現象で発生した磁界により、他方のコイルの誘導現象が引き起こされる現象です。  …
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変圧回路(その2)

 今回は代表的なDC-DCコンバータの回路例とその動作原理を紹介します。  前回、説明したようにコイルに急に電圧を加えると電流はゆっくり増加し、エネルギーが蓄積されます。また加えていた電圧をゼロに戻すと、電流はゆっくり現象し、蓄積されたエネルギーが放出されます。変圧回路はこの動作を巧みに応用しています。  図Aに代表的回路の…
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