テーマ:科学

屈折率と吸収係数の関係(クラマース-クロニヒの関係)(その2)

 前回のホプキンソンの重ね合わせに用いた階段状の変化が時間間隔、電圧間隔がともに細かくなっていった極限を考えます。これは前回の図B(a)に破線で示したような滑らかな曲線状の変化になると考えられます。そのような場合の式は積分を使って次のように書き直せると考えられます。    ここで、t-u=τと置くと     全電流は   …
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屈折率と吸収係数の関係(クラマース-クロニヒの関係)(その1)

 ここまで光変調器の話を中断して屈折率について説明してきましたが、これは今回取り上げる屈折率と吸収係数の関係について明らかにするためでした。  前回、説明したように、複素屈折率の実部が屈折率に相当し、虚部は消衰係数と呼ばれ、吸収係数に相当しています。実はこの実部と虚部、すなわち屈折率と消衰係数は独立に決まるものではなく、一定に関係…
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複素屈折率(その2)

 前回の続きですが、複素誘電率と複素屈折率の関係をもう少し検討し、複素屈折率の物理的意味を調べることにします。  もう一度、電磁波の式に戻ります。ここでは複素ベクトルを使った表式をとります。電界Eは      (1)  ここでωは角周波数、kは伝搬定数です。Kはベクトルで一般にはz方向と異なる方向を向いているのですが、ここでは…
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複素屈折率(その1)

 前回のスネルの法則などの話で扱われている屈折率は実数ですが、今後の議論を進めていくうえでは、屈折率を複素数として考える必要があります。前回、屈折率と誘電率の関係を示しましたが、複素屈折率を導入するために複素誘電率をまず考えます。これには誘電体を用いたコンデンサを含む交流回路の議論から入るのがよいかと思われます。  静電容量Cのコ…
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屈折現象

 前回、屈折率の変化を利用した光変調器について紹介しましたが、その屈折率をいかに変化させるかを考えていきます。その前に基本的なことですが、屈折現象についてまとめておきます。 屈折率は基本的な物理定数で、通常は光学や電磁気学で取り扱われる巨視的な定数です。このサイトでは電磁波としての光のついてはまだあまり取り扱っていないので、この機…
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屈折率変化を利用した光変調

 前回まで半導体の光吸収特性の変化を利用した光変調素子について紹介してきました。これ以外の原理を使った光変調としては、屈折率の変化を使ったものがあります。こちらは半導体よりもむしろ誘電体、とくに強誘電体を使った素子が長く研究され一部実用化したものもあります。  この屈折率変化を利用した光変調には原理の異なる多くの種類が提案されてき…
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フランツ-ケルディッシュ効果

 電界によって光の吸収端が変化する効果として量子閉じ込めシュタルク効果より前から知られていたフランツ-ケルディッシュ効果を取り上げます。  この効果は1958年にドイツの物理学者フランツ(W.Franz)とロシア(当時はソビエト連邦)の物理学者ケルディッシュ(L.V.Keldysh)が互いに独立に見い出しました。量子閉じ込めシュタ…
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量子エネルギーの電界による変化

 前回まで長々と摂動法の説明をした目的は量子閉じ込めシュタルク効果で量子準位がどのように変化するかを近似的に解析するためでした。今回は実際に計算をしてみます。  計算は量子井戸に電界がかかったとき、量子準位のエネルギーがどのように変化するかを求めるのが目的です。印加電界をFとすると、1次元のポテンシャルのエネルギーV(x)は  …
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摂動法(その3)

 つぎに2次の摂動を考えます。固有エネルギーを求めるには1次の場合と同様に前々回の(8)式から出発します。(8)式を変形して      (18) 1次の場合と同様に、左からψn(0)*をかけて積分しスカラー積を求めると、(18)式の右辺が求めるEn(2)になります。    ψn(1)に(10)式を代入して計算するとつぎのよ…
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摂動法(その2)

 1次のψn(1)、これを1次の摂動項と呼びますが、これを求めるのが、この近似解法の最初の目的です。そこでまずこれをψn(0)で展開して表示します。     (10) (10)式を(7)式に代入すると    書き直して     (11) となります。  (11)式の左から共役関数のψk(0)*をかけて積分し、スカラー積…
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摂動法(その1)

 量子閉じ込めシュタルク効果は量子井戸の量子準位が電界印加によって変化することによって起こることを前回説明しました。準位の変化は量子力学的に検証しなければなりません。準位が電界の影響によってどう変化するかを計算するにはシュレディンガー方程式を解かなければなりませんが、電界によるポテンシャルエネルギーの変化を加味すると解析的には解けなくな…
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量子閉じ込めシュタルク効果

 前回紹介した電界吸収型光変調器では電界印加によって光吸収率が変化する層が使われています。この層は量子井戸層ですが、量子井戸は層に垂直方向に電界を印加することによって光吸収特性が変化する性質があります。この現象を引き起こしているのが、「量子閉じ込めシュタルク効果」と呼ばれる効果です。  量子井戸の光吸収は同じ半導体の厚い層やバルク…
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pnpn構造素子の解析(その2)

 前回、サイリスタは2つのトランジスタの組み合わせで表せ、この2つのトランジスタの電流増幅率の和が1になるところでサイリスタが負性抵抗領域にスイッチングすると説明しました。これを表すアノード電流IAの式を再掲します。   ここでα1、α2はそれぞれアノード側およびカソード側トランジスタの電流増幅率、IGはゲート電流です。  通…
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pnpn構造素子の解析(その1)

 pnpn構造素子を理論的な面から少し見ておきたいと思います。pnpn構造はpnpトランジスタとnpnトランジスタを図Aのように接続した素子と見なすことができます。ショックレーはむしろこのようなトランジスタの接続からpnpn構造を発想したように思われます(特公昭29-005752参照)。  図Bは回路記号を使って表した図です。サイ…
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サイリスタ

 前回、pnpnダイオードの動作について紹介しましたが、pnpn接合は4層構造ですから電極は両端だけでなく、中間のp層やn層に設けることもできます。今回はこの中間のp層またはn層のいずれかに電極を設けた3端子素子を取り上げます。  実はこの3端子素子は意外に重要な役割を持っており、現在もよく使われています。その辺りについて順に紹介…
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pnpnダイオード

 前回、ショックレイの特許の紹介を通してpnpn接合の特性を大雑把に説明しましたが、今回はもう少し詳しい説明を加えることにします。  前回と重複しますが、図Aのようなpnpn接合の外側のp1層とn1層に電極1と2を設けたpnpnダイオードを考えます。このダイオードに図のような回路をつないで電圧Vを変えたときの電流I-電圧V特性は前…
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pnpn接合素子

 負性抵抗素子のもう一つの代表的な例としてpnpn接合を用いた素子を取り上げます。pnpまたはnpn接合を用いたバイポーラトランジスタよりさらに一つ接合が多いこの素子には種々の構造が知られていて、先のトンネルダイオードより実使用という面ではずっと多用されています。  歴史的にみるとだれが最初に提案したかははっきりしませんが、トラン…
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トンネルダイオードの応用(その2)

 トンネルダイオードの応用の話をもう少し続けます。トンネルダイオードというよりもう少し広い意味の負性抵抗素子の応用です。 1. 増幅回路  図Aのような回路で信号源から入力した信号viを負荷抵抗RLの両端から信号voとして取り出すことを考えます。負荷抵抗RLに直列に負性抵抗-Rが接続されています。抵抗rsは電源の内部抵抗や配線の…
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トンネルダイオードの応用(発振回路)

 最初に紹介した江崎特許(特公昭35-6326)にもトンネルダイオードの応用として図Aのような発振回路が記載されています。今回はこの発振回路について調べてみます。  発振回路とは直流電源から交流電流を発生させる回路です。もちろんトンネルダイオードに固有のものではなく、いろいろな原理の回路が知られていますが、ここでは特許の回路に沿っ…
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トンネル電流

 トンネルダイオードのpn接合に流れる電流の理論を考えてきましたが、今回ようやく最終的な電流の式を導きます。  トンネル電流は基本的に電位障壁に流入する電子の流れと電子が障壁を透過(トンネル)する確率の積で表されます。流入電流はすでに考察した固体中を流れる電流ですが、以前に検討したような衝突項は敢えて考えません。なぜなら障壁が電子…
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トンネル確率(その2、モデル計算)

 以前に求めたトンネル確率はポテンシャルが各部で一定な場合でした。ポテンシャルが位置に対して変化する場合も考え方は同じですが、境界条件が定めにくい場合などはやや近似的に考える必要があります。  まず図Aのような任意のx方向に変化するポテンシャル障壁を考えます。電子のエネルギーεはxがaからbの間で障壁のポテンシャルV(x)より小さ…
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トンネル確率(その1、WKB法)

 トンネルダイオ^ドを流れる電流は基本的には接合に流れ込む電流とトンネル確率の積で表されます。前回まで電子の流れについての理論は、この接合に流れ込む電流を解析することを目的としたものでした。そこでつぎにトンネル確率を求める必要があります。  このトンネル確率についてはもっとも簡単な場合、すなわち高さが一定のポテンシャル障壁がある場…
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電流の表式

 今回はボルツマン方程式から電流の式を導出します。まず前回のボルツマン方程式を再掲します。   (1)  電流は定常電流を考えます。定常状態では    ですから、     (2) という関係が成り立ちます。  ここで衝突項として古典論で採用した緩和時間τを用いた形が分布関数fの変化に対しても成り立つを仮定して  …
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固体中の電子に関するボルツマン方程式

 前々回、前回の記事には記号などに不備がありましたので、少し修正しました。今回はその続きで、前回の準備をもとにボルツマン方程式を導きます。前回説明したように波数kとΔkの範囲にある電子の数Nは熱平衡状態において   (1) となります。ただしf0は前々回の(6)式の熱平衡状態のフェルミ分布です。 このf0が電界Eにより変化した…
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k空間

 前回登場したボルツマン方程式を使って固体中の電気伝導を解析するためには少し準備が必要です。少し回り道になりますが、今回はそれをやります。  前回のフェルミ分布の図は横軸が波数kでした。このkがどこからきたのかを考えます。  以前に量子力学の自由電子モデルについて紹介をしています。ここでは一部繰り返しになりますが、必要な点を…
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固体中の電子伝導

 長く更新が滞りましたが、再開します。  前回のトンネルダイオードを流れる電流の理論を紹介するつもりでいましたが、そのベースになる固体(とくに半導体)中の電子の伝導現象についてきちんと取り上げていないことに気付きました。そこで少し回り道になりますが、この機会に調べてみることにしました。  以前の記事で電子の運動が古典力学(ニ…
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トンネルダイオード

 今回はトンネルダイオードを取り上げます。このトンネルダイオードは前回紹介したトンネル効果を応用したデバイスですが、一つのpn接合からなる単純なダイオード素子です。エサキダイオードとも呼ばれ、言うまでもなく江崎玲於奈博士によって初めて開発され、後年ノーベル物理学賞(1973年)の対象となったことはよく知られる通りです。  この発明…
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量子障壁(その2)

 障壁の高さVと電子のエネルギーEがE  (20) とおきます。γはつぎのような実数です。     (20)式を使って(10)、(13)式のβを置き換えると        これより同様にE     ここでsinhは双曲線関数で       です。  EとVを使った(17)、(18)式に対応する式は…
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量子障壁(その1)

今回は前回の量子井戸とは反対にポテンシャルエネルギーに出っ張りがある場合の波動関数を考えます。1次元のモデルは図Aのように示されます。  この場合、シュレディンガー方程式(前回の(1)式)の解は3つの領域に分けてつぎのように表されると考えられます。     (1)     (2)     (3) ただしα、βは前回同様で …
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量子井戸

 具体的なデバイスの話をする前にこれまで積み残してきた基本理論についてこの機会にまとめておきたいと思います。いずれも教科書に載っている話ですが、このサイト内で参照できるようにするためのものです。  まず数回は典型的なシュレディンガー方程式の解についてまとめます。今回は一次元のポテンシャル井戸についてです。つまりポテンシャルエネルギ…
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