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zoom RSS 異議申立

<<   作成日時 : 2005/09/24 10:44   >>

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 以前に特許電子図書館の経過情報でみた通り、この特許は登録になった後、異議申立を受けています。

 繰り返しになりますが、この特許異議申立という制度は2003年末までで廃止になっています。これに似た特許無効審判という制度があり、一言で言ってしまえば、どちらか一つでよかろうというのが異議申立制度が廃止された理由です。一旦登録になった特許を平たく言えば潰すことができるという意味では確かに似た制度でしたが、本来の制度趣旨はかなり違うものでした。異議申立というのはいわば特許庁の審査結果の是非を世の中に広く問う制度でした。ある特許が登録になったとき、その発明は別に新しくなく特許になるのはおかしいと思った人は誰でも、これが特許になるのはこういう理由で不当であると申し立てることができました。

 これに対して無効審判という制度は、例えば権利侵害で訴えられたような場合に、それに対抗するために、その特許はそもそも特許として認められていること自体が不当であると主張して改めて審理をしてもらえる制度です。つまりその特許の存在が自分にとって不利益をもたらす場合に利用する手段であって、世の中に広くというより個人の利益に直結した制度であるという点で異議申立とはかなり異なった性格をもっています。たしかに異議申立も何の関係もない人がやることは少なかったでしょう。また無効審判の制度も利用しやすいように見直されましたが、やはりこの制度がなくなったのは審査の結果に対してものを言う手段が奪われてしまったような感じは否めません。

 さて話を戻しますが、以前に特許公報でも見ましたが、この経過情報の「登録記事」にもこの特許が登録になったのは平成9年4月18日で、公報が発行されたのが7月9日であることが載っています。下に戻ってみると異議申立日は翌年の1月8日となっています。異議申立は公報が発行されてから6ヶ月以内に限ってできることになっていましたが、1月8日は前年の公報発行日から6ヶ月を経過する1日前の日に当たっています。なお、この異議申立というのはだれでもできるという制度ですから、会社などで行う場合に、相手にあの会社から難癖を付けられたなどと不興を買いたくない場合には、自社名を伏せて個人名で行うこともできました。この場合もそのようなケースと思われます。

 さらに登録後の異議申立で取り消し理由通知が出たことを受け、つぎのような訂正が行われています。これが現在生きている特許請求の範囲ということになります。

<異議申立に対する訂正後>
 「加熱された基板の表面に、基板に対して平行ないし傾斜する方向と、基板に対して実質的に垂直な方向からガスを供給して、加熱された基板の表面に窒素化合物半導体結晶膜をMOCVD法でもって常圧で成長させる方法において、基板の表面に平行ないし傾斜する方向には窒素化合物半導体の原料となる反応ガスを供給し、基版の表面に対して実質的に垂直な方向には、反応ガスを含まない不活性ガスの押圧ガスを供給し、不活性ガスである押圧ガスが、基板の表面に平行ないし傾斜する方向に供給される反応ガスを基板表面に吹き付ける方向に方向を変更させて、半導体結晶膜を成長させることを特徴とする半導体結晶膜の成長方法。」

 なぜこのような訂正が行われたのでしょうか。異議申立をするには根拠が必要です。これを証拠と言います。この異議申立には2つの証拠が提出されています。1つめは特開昭63−7619号公報で、2つ目は特開昭63−28868号公報です。両方とも公開特許公報ですから、特許電子図書館で見ることができます(この週末はメンテナンス中で使えないようですが)。

 まず特開昭63−7619を見てみましょう。出願人は日本真空株式会社です。真空成膜や半導体結晶成長の装置メーカとして知られる会社です。請求項1をみるとつぎのように書かれています。
「密閉槽内に配置された基板の表面にほぼ平行に第1のガス流をシート状に導入し、かつ前記基板の表面に対向するように第2のガス流を導入して、前記基板の表面の近傍に前記第1のガス流の層流状態を保持するようにしたことを特徴とするCVD装置のガスフロー方法。」

 もう一つの証拠の特開昭63−2886も日本真空社からの出願です。つぎの請求項をみると、上記の出願とよく似ていて関連する出願であることがわかります。
「金属元素を含んだ反応性を有するガスと金属元素を含んでいない反応性を有するガスとを減圧下反応槽内の基板の表面にほぼ平行にシート状の流れで導入し、かつ前記基板の表面に対向するように不活性ガスを主体とするガス流を導入しながら、前記基板に加熱ランプの光を照射し、前記基板を加熱することにより前記基板の表面において化学反応を生じさせ、前記基板の表面に前記金属元素を含んだ薄膜を形成することを特徴とするCVD法。」

 何やらすごく近い内容のような気がします。次回、少し詳しく比較をしてみることにしましょう。

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