石くれと砂粒の世界

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<<   作成日時 : 2005/10/10 12:46   >>

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 石ころが光るのはそれを作っている原子がもっている電子がエネルギーを放出するからだと説明しました。前回、原子核の周りを1個の電子が回っている絵を描きましたが、これは一番簡単な水素原子が空中に孤立しているのをモデルにした絵です。半導体となる原子はもっと原子番号が大きいものですから、電子の数が多くこのような簡単な絵では表せなくなります。それに固体の半導体は例え砂粒程度でもものすごい数の原子からできていますから、とても1個1個の原子に注目しているわけにはいきません。

 ところで発光ダイオードに使われるような半導体は結晶です。原子が整然と一定のルールにしたがって並んでいるのが結晶です。このような結晶の一部(原子9個分だけ)を簡単に描いたものが図Aです。○で示したのが原子で、・で示しているのが電子です。例えばSiは原子番号が14ですから14個の電子をもっていますが、もっとも外側にあって隣の原子と手をつなぐ役割を果たす原子は4個です。これは同じ4価の元素の炭素CやGeも同じです。この4個の電子を価電子と言います。つまり図ではこの4個の価電子だけを示しています。結晶では隣り合う原子が1個ずつ電子を出し合って結びついていると考えればわかりやすいでしょう。

 GaAsではどうでしょうか。SiやGeの結晶では○はすべて同じ原子ですが、化合物半導体のGaAsなどでは縦横とも1個おきにGaとAsの原子が並んでいるようなモデルで考える必要があります。Gaは3価の元素ですから価電子は3個、Asは5価の元素ですから価電子は5個です。4価の原子2個が出し合う電子の数は計8個ですが、GaとAsが出せる電子の数の和も8個で同じです。U族とY族の組み合わせ、例えば硫化亜鉛(ZnS)の場合でも、価電子の和は8個で同じになります。

 このような価電子は結晶の中では原子に結びついていて自由に動けません。何らかのエネルギーを与えて原子との結びつきから解放してやると、図Bのように電子は自由に動けるようになり、それがまたもとの価電子に戻るときに光を出すことがあります。これは前回説明した1個の原子の場合と似ています。

 なんとなく想像できると思いますが、ある一定の大きさ以上のエネルギーを与えてやらないと、電子は自由になれません。中途半端なエネルギーでは原子との結びつきから逃れることができないのです。猫がコンクリート塀の上を伝わって器用に歩いているのを見かけることがあります。猫は地面から一気にジャンプして塀の上に乗ります。猫は自分の跳躍力をよく知っていて失敗することはあまりありませんが、もし跳ぶ力が足りないと、塀の上まで届かず、下に落ちてしまうはずです。地面から垂直に立っている壁面に留まるのは猫といえども無理だからです。電子もこのイメージです。ただ少し違うのは猫は地上でも自由に歩き回っていますが、電子は「地上」では動けません。

 上のことを絵にすると図Cのようになります。電子が原子の価電子でいるときのエネルギー帯を価電子帯と言います。自由に動けるようになった電子は自由電子あるいは伝導電子と呼ばれますが、この伝導電子がいるエネルギー帯を伝導帯と言います。「帯」(オビでなくタイと読む)とは変な言葉ですが、英語のバンドの訳です。結晶の中の電子のエネルギーについて説明するバンド理論というのがあって、バンドという言葉はそこからきています。

 価電子帯と伝導帯の間には隙間があって、この隙間のエネルギーには垂直な壁面のように、電子が留まることができません。この隙間のことをエネルギーバンドギャップと言って、物質によって違う値になります。実はこれが半導体が発光するときの色に関係しています。GaAsは赤外光を発光するのに対し、GaNは青色の可視光を発光するのはこのエネルギーバンドギャップの違いによっているのです。伝導帯の伝導電子は、猫が塀の上から地面に飛び降りるように価電子帯に落ちることがあります。このときエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーの光を出します。大雑把に言えば、これが半導体の発光です。

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