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zoom RSS 特許の国際的な見方

<<   作成日時 : 2006/02/04 18:04   >>

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 前回、外国特許の簡単な検索の仕方を説明した通り、国際的に特許を追いかけることもネット上でできるようになっています。しかし自国だけでなく外国でも特許を押さえる意味をどのように考えたらよいのでしょうか。これには難しい問題がたくさんあります。

 まず基本中の基本ですが、特許の権利は国ごとに独立であるということがもっとも重要でしょう。日本で特許が登録になっても、外国では役に立たないということです。今、日本企業の多くの製品は外国に出て行っています。あるいは作るところから外国でやっているケースも多くなっています。そのようなとき、外国でも他社の参入を排除し、独占的に事業を進めようとするなら、そうしたい国に特許を出願し、権利を得なければなりません。

 出願された特許のうちどれに権利を与えるか、すなわち審査はどうかというと、これも例外はありますが基本的には各国で各国の法律に定められた基準に従って行われています。しかし例えばヨーロッパでは、ヨーロッパ特許機構(EPO)という機関を設け、ヨーロッパ特許庁での審査にパスすればこのEPOに加盟している国のなかから指定した複数の国で権利が得られるようになっています。審査についてはさらに広げて世界共通にしたいという考え方もありますが、現在では実現に至っていません。

 出願された発明を特許権として認めるかの判断基準は、それが真の発明かどうかということでこれは世界共通です。ただそれを具体的にどう判定するかは各国の法律によって少しずつ違っています。しかしほとんどの国では出願がされた時点より前に、出願された技術内容と同じことが、刊行物に書かれていたら、それは発明と認めません。しかもその刊行物にはその国で出版されたものだけでなく、世界中でどんな言語で書かれたものも含まれます。例えば、日本に出願された特許の審査で、その出願日よりも前に出版された外国の文献に同じ内容が書かれていることが見つかれば、それが日本人にほとんど読める人がいないような言語で書かれていても公知技術であると認められ、その出願に特許は与えられません。

 これはどういうことかというと、例えばA社が日本で特許出願をし、それが公開になったとします。その後、B社がアメリカに同じ内容の特許出願をしてもA社の公開特許が先にあるので権利にはなりません。つまりA社はアメリカで特許権をとらなかったとしても他社に同じ権利をとられることは少なくともないことになります。

 しかし実際にはどんな有力な調査機関でも世界のすみずみまで調査の範囲を広げることはできませんので、上記の例でもA社の日本語の公開特許が調査で見つからず、B社がアメリカでは権利を取得してしまう場合があります。しかしこれは審査における見落としですから、後々だれかがA社の公開特許を示して争えばB社特許のアメリカ特許は無効にできます。

 例を使ってまとめると、A社が開発した製品の特許を日本とアメリカに出願し、権利を得たとします。しかしそれ以外の国には出願しませんでした。競合会社のB社は同じ技術をA社とは独立に開発しましたが、少し遅れてしまったため、特許を取得することができませんでした。この場合B社は日本とアメリカではA社から許可をもらわないかぎり、生産も販売もできません。しかし例えば中国ではどうでしょうか。中国にはA社の特許はありませんが、日本、アメリカ特許が先行公知技術となっているので、だれも中国では特許権をとることはできません。こういう場合は、A社、B社、あるいはそれ以外の会社も中国で自由に生産が行え、製品の販売もできます。B社が努力してA社よりも安く品質のよい製品を供給すれば、A社に勝てる可能性も出てきます。

 A社はこれがいやならば、中国にも特許を出しておかなければなりません。中国に限らず世界中に出しておけばよいわけです。これをしないのは費用の問題があるからです。外国に特許を出すには日本に出願するより多くの費用がかかります。まずその国が認める言語に明細書を翻訳しなければなりません。世界中の言葉を一人で書ける人などいませんから、それぞれ専門の翻訳家に依頼するしかなく、翻訳費用がかかります。また出願する国には普通、代理人を置かなければなりません。どの国の特許庁も外国の出願人にその人が読める言語で連絡をとるようなサービスをするのは事実上困難ですから、国内に代理人を置くように求めます。出願人はその各国にいる代理人に代理業務をしてもらうためにお金を払う必要があります。多くの国に出願すればするほど費用が嵩むのです。

 このようなわけでどの国に特許を出すのかは難しい判断になります。その事業を将来的にどう進めるのかという計画というか思いによって決めていくしかないでしょう。輸出する計画がないなら外国に特許を出す意味はないですが、世界中に輸出する、あるいは外国で生産して販売するなら外国で特許を取得した方が有利なのは当然です。とくに市場が大きい国、その製品を購入できる人が多い国に出願するのがもっとも効果的でしょう。

 しかし例えば、中国のような国は人口は抜群に多いけれども、製品を買ってくれる人がどれくらいいるか、あるいは将来どれくらい増えるかなどをよくわからないかも知れません。調査して先を読むマーケティングの問題かも知れません。またヨーロッパも判断が難しい地域です。全体としては人口も多く、購買力も一般的には高いと思われますが、小国が多くそれぞれで特許権を確保しなければならないため、特許費用の点からみると効率が悪いのです。

 次回はもう少し国際的な制度をみていくことにします。

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