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zoom RSS 国際出願とは

<<   作成日時 : 2006/03/18 18:05   >>

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画像 前回、ヨーロッパではヨーロッパ特許庁に1件の出願をすれば、ここで審査がなされ、これにパスすれば希望の国で特許が取れるという仕組みがあると説明しました。そしてこのシステムを拡大すれば世界全体で一括審査をする制度を作ろうという考え方が当然出てくるであろうということも言いました。これに向けての努力はされているようですが、まだ途は遠そうです。ただそれへの一歩として、特許協力条約(Patent Corporation teaty、略してPCT)という国際条約があり、国際出願(俗にPCT出願といいます)という制度ができています。今回はこれの説明をします。

 このPCTでは、この条約に加わっている締約国の国民は、自国の特許庁に国際出願として1つの出願をすれば、それが出願したい国すべてに対する出願日として認められます。ですから自国に出願し、それに基づく優先権を主張して外国にそれぞれ出願するよりは出願は楽になります。しかしヨーロッパ特許条約と違うのは、審査まで一括してやるわけではないという点です。審査は各国がそれぞれ独自にすることになります。権利を取得したい国に対しては出願から2年半後までにその意志を伝え、必要なら翻訳文を提出するなど手続きをとる必要があります。

 日本からPCT出願する場合には2つの方法があります。最初から1件のPCT出願をするのが一つです。もう一つは普通の国内出願をして、それからその優先権主張をしてPCT出願を1年以内のするという方法です。PCT出願は外国への出願だけでなく、自国への出願もできますから、PCT出願に日本への出願も含めてしまってもよいし、日本への出願は普通の出願にして、外国出願だけPCT出願にしてもよく、どちらでも選ぶことができます。

 PCT出願の例をみてみましょう。何度も日亜化学社の特許を引き合いに出して申し訳ないのですが、以前に調べた同社の外国出願のなかにPCT出願の例があったので、これを見てみます。PCT出願については特許電子図書館でもEsp@ce-netでも検索することができます。Esa@ce-netの方が楽かもしれませんので、こちらを使ってみましょう。Number Searchで検索番号欄にWO9905728と入力し、Searchボタンを押してください。

 Original documentのタブをクリックすると公報の1ページ目(添付)が表示されるはずです。下の枠内には英語と日本語で発明の名称が書かれ、英文の要約と代表図面が掲載されています。

 一番上に「世界知的所有権機関」とあります。これは英語では”World Intellectual Prooerty Organizasion”で”WIPO”と略称されます。その下に「国際事務局」とあってここがPCT出願の事務を行っています。そして左上にPCTと書かれ、「特許協力条約に基づいて公開された国際出願」とあり、これが国際公開公報であることを示しています。PCT出願も出願から1年6ヵ月が経つと公開されます。優先権主張した場合は優先日から1年6ヵ月です。PCT出願の公開番号は、枠内右上に示されているように頭にWOがつき、そのつぎの2桁の数字は公開年を示す西暦の下2桁です。この後”/”があって通し番号となります(検索では/は不要です)。

 左側2番目の欄には上から国際出願番号、国際出願日、優先権データが書かれています。国際出願番号はPCT/JP98/03336となっていますが、この公報が日本語であることから分かる通り、この出願は日本特許庁に対して行われていますので、それを示すJPの文字と出願年の西暦下2桁の98があります。日本からPCT出願を行う場合は日本語で出願できます。これは急ぎのときなどには大変助かりますが、いずれは翻訳文を作成しなければならないことに変わりはありません。

 本件の国際出願日は1998年7月27日です。このPCT出願は普通の日本出願に基づく優先権を主張して行われており、基礎とされた日本出願が優先権データのところに示されています。10件もの日本出願を基礎にしていることがわかりますが、もっとも早い出願日は1997年7月25日となっていますので、これが優先日となります。

 余談ですが、国際出願日は1998年7月27日となっていて優先日から1年を2日過ぎています。これはいいのでしょうか。まじめに調べていないのですが、1998年7月25日は土曜日だったはずです。期限日が特許庁の休みの日に当たるとつぎに開く日まで最終日が延びます。この場合、27日の月曜日まで期限が延びたわけです。

 右側の欄の下の方に指定国という項目があります。これがこの国で権利を取りたいと指定された国を示します。オーストラリア(AU)、カナダ(CA)、中国(CN),米国(US)の4カ国と欧州です。その下に添付公開書類とあって国際調査報告書と書かれています。国際出願でもヨーロッパ特許と同様な先行技術調査が基本的に全出願に対して行われ、国際調査報告書というものが出されます。一番上の欄の真ん中にA1とありますが、これもヨーロッパの場合と同じことを示す記号で、この公報にサーチレポートが付いていることを示しています。最終ページに飛んでみると、ヨーロッパの場合とほとんど同じ形式のサーチレポートが日本語と英語で付いています。

 このサーチレポートがもらえるのがPCT出願のメリットと考える向きもあります。確かに自分の出願について公的機関が調査してくれるのですからありがたいわけです。この他に最近はあまり利用されなくなっているようですが、もう少し踏み込んだ調査をやってくれる国際予備審査という制度もあります。こちらは請求しなければやってもらえませんし、有料です。しかしこれらの調査結果は各国の審査には無関係です。日米欧の特許庁はこれとは別に独自の調査をしているそうです。

 ところで以上の例は日本からの日本語PCT出願です。外国から日本を指定したPCT出願をする場合、最初の出願は英語であったり、ドイツ語であったりします。これらはその言語で国際公開されますが、日本での審査を受けるためには、日本特許庁に日本語の翻訳文を出す必要があります。この翻訳文が出されると日本では公表特許公報というのを出します。これが特表平・・・とか特表・・・と呼ばれる公報で、普通は外国からの出願です。

 以上で国際出願の話は終わりです。つぎは特許を調べるうえで欠かすことのできない分類コードの話をします。

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