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<<   作成日時 : 2006/07/16 20:00   >>

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 MOSFETは多数個を集積した集積回路でよく使われる回路構成にCMOSと呼ばれるものがあります。CはComplimentalyの頭文字をとったもので、日本語では相補型MOSと言います。まずは回路図(図A)を見て下さい。画像

 この回路もインバータの機能をもっています。入力端子の電圧を高くすると出力端子の電圧は下がり、逆に入力端子の電圧を低くすると、出力端子の電圧は高くなります。2つのMOSFETが使われていますが、下側が今までに説明してきたnチャンネルMOSFET(nMOSと書きました)です。上側はpチャンネルMOSFET(pMOS)が使われます。両方のゲートが共通に接続されて入力端子になっています。

 nチャンネルMOSFETはこれまで説明してきたように、ゲート電圧をプラス電圧にするとソース−ドレイン間に電流が流れONになります。ゲート電圧を0ボルト付近に下げるとソース−ドレイン間には電流が流れなくなり、OFFになります。PチャンネルMOSFETはこの逆の動作をします。

 CMOSでは2つのゲートが共通に接続されていますから、nチャンネルMOSFETがONのときpチャンネルMOSFETはOFFになり、nチャンネルMOSFETがOFFのときpチャンネルMOSFETはONになります。これは簡単に言えば図Bのように二つのスイッチが直列につながれていて、片一方だけがONになるということです。普通の2つのスイッチなら両方ともONになったり、両方ともOFFになったりしますが、CMOSではそういうことがありません。

 出力端子は2つのスイッチの間にあるので、図Bのように下のスイッチがONのときは出力端子は接地されたのと同じで低い電圧になり、上のスイッチがONのとき、出力端子は電源Vdに直接つながれたのと同じで高い電圧になります。

 入力端子が高電圧のとき下側のnチャンネルMOSFETだけがONになりますから、出力端子は低電圧になります。入力端子が低電圧のとき上側のpチャンネルMOSFETだけがONになりますから、出力端子は高電圧になります。つまりインバータの動作をしていることになります。同じインバータを作るには1個のMOSFETでよいのに、なぜ2個のMOSFETを使ってCMOSにするのでしょうか。

 図Bでどちらかのスイッチは必ずOFFです。ということはこの回路では電源Vdから電流がグランドへ向かって流れることはありません。通常のインバータではMOSFETがON状態のときは必ずソース−ドレイン間に電流が流れます。電流が流れるということは電源が電池なら早く消耗することになります。これを消費電力が大きいと言いますが、エコロジーの立場に立てば、などと言うまでもなく、消費電力は少ないに越したことはありません。CMOSは消費電力が少ないという点で非常に優れているのです。

 さてこのような優れた特徴をもつCMOSはだれが発明したのかというとこれもどうもはっきりしません。同じような回路はまずバイポーラトランジスタで考えられたようです。これはアメリカのWestinghouse社が最初とされています。しかしMOSFETへの適用となるとあまりはっきりしません。日本特許でルーツを少し探ってみましょう。

 以前にMOSFET自体の調査に使ったIPCのH01L29/78で、もう一度1960年代の特許を見てみました。すると特公昭43−22738号というオランダのフィリップス社が出願した特許が見つかりました。日本への出願は1966年6月ですが、1年前にイギリスに出願されていることがわかります。

 この特許はCMOSの製法に関するものです。nチャンネルMOSFETはp型Si基板上に、pチャンネルMOSFETはn型Si基板上に作られます。しかしCMOSは2つのMOSFETを別々の基板上に作ったのでは意味がありません。この特許に示されているように同一基板上にnチャンネルとpチャンネルのMOSFETが作製できたことに大きな意味があります。これがMOS集積回路のその後の発展を支えたと言っても過言ではないと思います。具体的には次回に説明しましょう。

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