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zoom RSS 石ころCMOS(2)

<<   作成日時 : 2006/07/30 13:21   >>

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 前回の図で(イ)を作るところまで説明しました。これだけでもずいぶん手間暇がかかっているのがおわかりかと思います。今回は(ロ)です。シリコン基板1はn型ですが、SiO膜2に窓3が開いた(ロ)の斜線部分4だけp型に変えます。

 どういう方法を使うかについて、この図が載っている特開昭49−75288号では「窓3からP型不純物を選択拡散して」と簡単に書かれているだけです。この技術も半導体技術としてはよく知られているからです。しかしここではそれで終わりというわけにはいきませんので、少し説明します。

4価のシリコンをp型にする不純物、つまりアクセプタになる不純物は3価の元素で、よく使われるのは硼素(B)です。またn型にするドナー不純物は5価の元素で、リン(P)がよく使われます。これをシリコン中に入れる方法としては熱拡散法があります。「選択拡散」は基板の一部分を選んで熱拡散することを意味しています。

 熱拡散は物質の濃度に高い部分と低い部分があると、高い部分から低い部分に向かって物質が移動する拡散現象を利用するものです。シルコン基板の表面にBあるいはPを含む層を付着させ、これを加熱するとBやPはその濃度が薄いシリコン中に拡散していきます。この不純物元素を含む化合物の層を付着させる方法はいろいろありますが、詳しく説明はしません。

 BやPは周りのSiO膜の中を拡散しないわけではありません。しかしSiO膜がある部分ではそれを通過してシリコンの表面まで達するには時間がかかります。また濃度も薄くなるはずです。このため、シリコンが露出している部分だけに(ロ)のようなp型領域をつくることができます。もっとも実際は図のようにきちっとした矩形になるわけではなく、角の丸い形になると思います。

 ところでCMOSを作る場合、nチャンネルMOSFETとPチャンネルMOSFETは特性が揃っている必要があります。特性がちがっていると、一方がONになったとき、他方がうまくOFFになってくれないなどといったことが起きてしまうからです。そのため、(ロ)の4の部分の不純物濃度は設計通りになってくれないと困ります。しかし熱拡散は拡散後の濃度をあまり正確にコントロールできないという問題をもっています。

 このため、現在のCMOSの生産には熱拡散はあまり使われていないはずです。それでは替わりにどのような技術が使われているかというと、イオン注入(Ion implantation)という方法が使われています。これは例えばBをイオンにし、高い電界中で加速してシリコン表面にたたきつけるようにして、打ち込むという方法です。イオンを作るには放電を利用するのが簡単です。Bを含む気体に電圧をかけて放電させると、Bは電荷を帯びた粒子、すなわちイオンになります。イオンが正の電荷をもっていれば電圧をかけた電極間ではマイナル電極に引き寄せられますが、イオンが飛ぶ距離を長くしておけばどんどん加速されます。もちろんこれは真空中でなければいけません。

 そしてイオンが飛んでくるところにシリコン基板を置けば、イオンはシリコンの結晶のなかにシリコン原子を押しのけるようにしてたたき込まれます。このような少し荒っぽい方法ですから、打ち込まれた側のシリコン基板の方はきちんと並んでいたシリコンの配列が乱されたりして傷みます。これはその後、加熱することによって修復されます。また基板の奥まで打ち込もうとしてあまり高速に加速したイオンを使うと、結晶の傷みがひどくなりますから、これはほどほどにし、あとで加熱して熱拡散で不純物を奥まで入れるという手段も採られます。

 このようなイオン注入法がCMOSに応用されたのはかなり早い時期です。例えば昭和48年(1973年)に出願された特開昭50−1687号にはこの方法を使うことが載っています。この特許にも特徴が書かれていますが、不純物の濃度をコントロールでき、濃度分布を均一にできるところが特徴です。真空中で一つの種類の元素だけを基板表面には触れずに空中から打ち込むので、このようにコントロールが効くのです。もっともかなり大きな真空装置が必要になるので、ちょっと実験室に置いて手軽に使うというわけにはいかないのですが。

 さてこれで(ロ)まで終わりました。(ハ)以降はいよいよMOSFETの製作に入ります。
 

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