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<<   作成日時 : 2007/04/08 20:07   >>

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 ゲート絶縁膜のないFETとして前回、接合型FET(JFET)を取り上げましたが、この他にショットキー接触を使ったFETがあります。まずショットキー接触について復習しておきます。

 ショットキー接触(Schottky contact)とは金属と半導体を接触させたときに起こる接触状態の種類の一つを言います。このほかにオーム接触(またはオーミック接触)というのがあります。ショットキー接合という場合もありますが、接合はjunctionの訳語で、これは半導体同士をくっつけた場合に使うべきで、半導体と金属の場合は接触が適当と思われます。それはさておき金属と半導体が接触するとどんなことが起こるでしょうか。

 金属や半導体は自由電子をもっていますが、これはエネルギーを与えて外に飛び出させることができます。この外に取り出すために必要なエネルギーを仕事関数といいますが、これは物質によって異なります。一般に金属の方が半導体より大きくなります。そのため異種の物質を接触させると両方の物質の仕事関数の差で決まるような接触が起こります。画像

 図Aは金属とn型半導体が接触したときのエネルギー図(縦軸がエネルギー)です。金属の方が仕事関数が大きいので、図のように仕事関数差だけエネルギーに段差のある接触の仕方になります。

 さて図Aは金属と半導体を接触させたものの他には何も接触していない空中に浮かせたような状態を示しています。実際に何かに使う場合は電圧をかけるなどのことをする必要があります。図Bは金属と半導体を同電位にした場合の図です。具体的には半導体の後側に金属電極を付け、これと前の金属を電線で繋ぎます。この場合、接触面では相変わらず仕事関数差だけエネルギーに段差がなければいけませんが、接触面から遠いところでは電位すなわちエネルギーが一致しなければなりません。そのため全体の折り合いを付けるために半導体中にある電子が接触面付近から遠くへ移動し、接触面付近の半導体部分は空乏領域となり、この部分の電位は傾斜した状態になります。

 図Bのような状態になると、半導体にプラス、金属にマイナスの電圧をかけても電子はエネルギー障壁があるため、金属側から半導体側に入りにくくなります。逆に半導体をマイナス、金属にプラスの電圧をかけた場合は、電子は半導体側から金属側によく流れます。このように金属と半導体が接触していて、かける電圧の方向によって電流の流れやすさに違いがある場合をショットキー接触と言っています。因みに電圧の方向によって電流の流れやすさに違いがない接触をオーム接触と呼んでいます。

 さて話をFETに戻します。半導体と金属を接触させると半導体の表面付近に空乏領域ができますから、これを利用すればFETができます。基本的な構造は図Cに示すようなFETとしてはもっとも簡単なものになります。ソース−ドレイン間に流れる電流をゲート電圧によってできる空乏領域の大きさによって調節することができます。

 このようなFETをMESFETと呼んでいます。たぶんにMOSFETとの語呂合わせ的な命名と思いますが、MEは金属MEtalの頭2文字、Sは半導体Semiconductorの頭文字から来ていて、金属−半導体接触型のFETという意味です。

 このようなFETは前回あげたショックレーの特許にすでに示唆されています。特公昭29-5768の2ページ目の右側の欄の一番上に金属と半導体の接触でもよいという意味のことが書かれています。MESFETもFIには分類があって、H01L29/80@Bがそれです。

 MESFETも半導体がn型の場合はゲートを必ずマイナスにして使わなければなりません。ゲートをプラスにするとゲートから電流が流れ込んでしまいます。このMESFETはMOSFETに比べるとゲート絶縁膜がない分、容量が小さく高速動作に向いているという特徴があります。

 もう一つ大きな利点があります。それはシリコン以外ではよいゲート絶縁膜が作れないため、絶縁ゲート型FET(MISFET)が作れないという問題がありましたが、MESFETならその問題がありません。そのためGaAsなどシリコンより移動度の大きい半導体を使ったMESFETの開発がなされました。そしてこれはさらに工夫された高速のFETの実現につながりました。その話は次週に。

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