石くれと砂粒の世界

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zoom RSS 高校数学でわかる半導体の原理

<<   作成日時 : 2007/04/22 18:42   >>

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 「高校数学でわかる半導体の原理」(ブルーバックス、講談社)という本がでました。このブログ「石ころと砂粒の世界」で扱っている話題に近い内容が書かれているので興味をもって読んでみました。

 著者は早稲田大学の竹内淳教授で「高校数学でわかる」シリーズをすでに2冊出版されています。前2作はマックスウェル方程式とシュレディンガー方程式を対象にしたものでした。これらは方程式すなわち理論を対象としたものですから、この難しい理論を高校レベルの数学を使って説明した本というふうに理解できます。ところが半導体の原理と聞くと、それは数学でわかるのでしょうか、という疑問も出てきて何が書いてあるのか興味が湧いてきます。

 本書の前書きを読むと、われわれのまわりに充ち満ちている半導体の世界をのぞいてみたいという高校生や一般の人に役立つような説明をしたいといった主旨のことが書かれています。この辺りはこのブログを始めた理由と近いところがあります。これだけわれわれの身近にあって毎日使っているような機器のなかに使われている半導体ですから、どんな仕組みになっているのか知りたいと思う人は多いのではないかと思います。

 そのような要望に応えてどういうふうに説明するかですが、この半導体の原理を本当に理解するためには大変な勉強の積み重ねが必要です。「高校数学でわかるシュレディンガー方程式」のまえがきには量子力学を勉強しようとしても肝心のシュレディンガー方程式に辿り着くまでが大変なことが書かれています。量子力学を理解するためにはニュートンの運動方程式に代表される古典力学、マックスウェルの方程式に代表される電磁気学が必要です。そして半導体の原理を理解するためには量子力学を学んだだけではまだ足りず、さらに固体電子論を学ばなければならないのです。専門家になる人はこれらをしっかり勉強しなければなりませんが、それ以外の人は一から勉強しようとして途中で挫折しては意味がありません。

 そこで核心にいきなり近づいて説明するとなると、あるところまではもうわかったものとして認め、そこからスタートすることになります。このブログでは半導体のなかでの電子の動きの説明は例え話的にしていますが、なぜそうなるかについては説明していません。これはやはり数式なしでは説明が難しいと思います。本書は第2章の「キャリアの数は?」でかなり数式を使って半導体中の電子と正孔の数について原理的な説明をしています。これらの数式は固体電子論から出てきたものですが、本書では例え話を巧みに使って状態密度を説明し、量子力学の結果をわかったものとして使って数式の説明に繋いでいます。

 数式がよく出てくるのは第4章のpn接合を説明するところまでで、第5章以下のデバイスの説明ではほとんど数式が使われていません。つまり半導体中での電子、正孔の量とその動きについては数式で理解した方がよいのですが、デバイスの原理は言葉と図でかなり理解ができるということです。高校数学で半導体中の電子と正孔の数とその動きについて計算ができるので、これを理解すれば半導体はかなりわかります、と本書では言っていると思います。

 ところで本書の第5章「世紀の発明 トランジスタ」では二、三の特許が紹介されています。発明の話に特許が登場するのは当然と言えば当然ですが、このブログと同様に特許を取り上げている書物が出てきたことは興味深く思います。

 半導体の原理からデバイスまでを理解するためによくまとまった本だと思います。
 

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