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zoom RSS ルビーレーザ

<<   作成日時 : 2007/06/10 17:42   >>

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 今回は具体的なレーザの話です。といってもまだ半導体レーザの話ではなく、最初の実用的なレーザ装置となったルビーレーザについてです。誘導放出や光増幅の典型例という意味でみておく価値はあると思います。

 発明者はアメリカのメイマン(T.H.Maiman)という人です。技術の内容が書かれた特許がありますので、まずこれを紹介しておきます。アメリカ特許の3353115号がそれで、「ルビーレーザシステム」というタイトルがついています。この特許は継続出願ですが、もとの出願は1961年の出願です。学術論文の発表などは1960年に行われているので、レーザの発明は1960年と本などには書かれていますが、特許はやや遅れて出願されています。特許権(もう切れていますが)をもっているのはヒューズ・エアクラフト社です。日本への出願はないので英語で読むしかありません。

 さてルビーは鉱物としては酸化アルミニウム(Al2O3)の結晶です(コランダムという名前がついています)。サファイアも同じ仲間です。ルビーはこのうち赤色のものを言い、その他、青色のものなどがサファイアです。純粋な酸化アルミニウムは無色透明ですが、ルビーの赤色の発色はなかに含まれているクロム(Cr)不純物によっています。クロム原子は自然光のなかの緑色の成分を吸収するので、ルビーは緑色と補色の関係にある赤色に見えます。画像

 ルビーレーザの発光はこのクロム原子の周りの電子によっています。図Aは上記の特許の図面で、ルビーレーザに関係するクロム原子の電子のエネルギー準位を示しています。LEBEL1と書かれているのが一番低いエネルギーです。熱平衡状態では電子の多くはこの低いエネルギーの状態にいます。これに光を当てると、緑色の波長の光が吸収されて、電子はREGION3と書かれたエネルギーに励起されます。REGION3はエネルギー帯と呼ばれ、接近した多数のエネルギー準位が集まっています。

 REGION3のエネルギーをもった電子は破線の矢印のようにLEBEL1に戻ることもあり得ますが、LEBEL2というエネルギーをもつことも許されるので、ほとんどがこちらへ移ります。LEBEL3のエネルギーをもった電子はしばらくその状態にとどまれますからLEBEL1からREGION3に上がった電子がLEBEL2にどんどん貯まることになります。つまりLEBEL1よりも大きいエネルギーのLEBEL2の電子の方が多い誘導放出が優勢になる条件が整います。

 LEBEL2の電子はいずれLEBEL1に落ち、LEBEL2とLEBEL1のエネルギー差に等しい光を放出します(自然放出)。これが引き金になって誘導放出が起き、LEBEL2の電子がLEBEL1へどんどん落ちて発光し、その光がさらに誘導放出を引き起こして光はさらに強くなり、やがてレーザ光となって結晶の外へ出てきます。

 ルビーレーザ装置は簡単に描くと図Bのようになっています。30と書かれた円柱状に加工されたものがルビー結晶です。その周りのコイル状のもの28はフラッシュランプの放電管です。これに電源36から電圧をかけるとフラッシュランプは放電してパルス光を発生します。周りにある38はフラッシュランプの光を外に逃がさず、ルビーに当てるための反射鏡です。

 フラッシュランプが発する光は白色光ですが、このうち緑色の成分が吸収されて、LEBEL1の電子がLEBEL2へ励起されます。そして上に書いたような過程が起きてレーザ光34が発生することになります。なおルビーレーザの発光波長は694.3nmの赤色です。REGION3から直接LEBEL1へ直接落ちる発光は緑色になるはずで、LEBEL2を経由しての発光であることが出てくる光の色からも分かります。

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