石くれと砂粒の世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本人とナノエレクトロニクス

<<   作成日時 : 2009/12/21 00:03   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 今回は「受光素子」を中断して最近出版された本について書きます。その本とは、
  吉田伸夫著「日本人とナノエレクトロニクス」(技術評論社)
です。「世界をリードする半導体技術のすべて」という副題が付いています。

 書店で初めて見たとき、当ブログで扱っている技術と本書で解説されている内容がかなり近いので気になりました。ただ最初、本書を購入して読むのは少し躊躇しました。その理由は後述しますが、購入を後押しされたのは成毛眞氏のブログです(http://d.hatena.ne.jp/founder/)。このような内容の本はもともと出版される数も少なく、紹介する人も少ないのが実情です。そんななかで成毛眞ブログは技術関係のノンフィクションがしばしば取り上げられ、以前にも良書を教えていただいたことがありました。本書についても「この分野の知識はある程度あったつもりだったのだが「なるほどそうだったのか」と1ページ目から感心しきりである。」などと書かれていたので読んでみる気になりました。

 本書は7つの章からなっています。各章の名前を書き下すと次の通りです。
  第1章:集積回路の時代
  第2章:電子を閉じ込める〜量子細線・量子ドットと榊裕之
  第3章:速さを求めて〜HEMTと三村高志
  第4章:美しい光を〜面発光レーザと伊賀健一
  第5章:消えにくく消しやすく〜フラッシュメモリと舛岡富士雄
  第6章:かすかな磁場を捉える〜スピントロニクスと前川禎通
  第7章:これからのナノエレクトロニクス

 以上からわかる通り、第2章から第6章までの各章で、ここに名前の挙がっている著名な日本人研究者が発明しあるいは大きく貢献した半導体デバイスがわかりやすく解説されています。またその開発経緯や各研究者のエピソードも併せて紹介されています。

 デバイスの解説については当ブログと似たスタンスで書かれています。当ブログで現在のところ扱っていないのはスピントロニクスだけで残りはすでに取り上げています。当ブログで式を使わずにどう説明するかで悩んだ点の一つは半導体レーザにおける「誘導放出」です。本書でどのように説明しているか真っ先に探してみましたが、残念ながら真っ向からの説明はありませんでした。

 当ブログとの大きな違いは研究者の人となりなどについて記されている点です。当ブログはそのような内容をまったく書いていない(あるいは書けない)ので、やや無味乾燥なきらいがあります。

 なお、この他にも日本人が大きく貢献したデバイスはまだあります。青色発光ダイオードがその代表例です。これは取り上げられていてもよかったような気がしますが、まったく触れられていません。

 さて、最初に触れたこの本を読むのをためらった理由ですが、二つあります。両方とも本書のタイトルに関わりがあります。一つ目は「ナノエレクトロニクス」という言葉です。本書によればナノメートルスケールでの微細加工を施したというのがこの語の意味ということになります。確かに1〜999nmの範囲の加工が施されていると言えば、どのデバイスにも当てはまるでしょう。しかしこの語には、せいぜい1桁レベルのナノメートルスケールがデバイスの機能のために必要であるというニュアンスがあると思うのです。そうなると量子ドットとか本書で少し触れられているカーボンナノチューブなどに限られたものしか該当しないので、そこに少し齟齬を感じたのです。

 もう1点は「日本人」です。本書でも述べられているように1970年代以前は半導体技術といえばアメリカの力が圧倒的で、日本での世界的な仕事はごく限られたものでした。そういう時代には不当に日本人の成果を高く評価した、平たく言えばえこひいきした言説がよくありました。タイトルに「日本人」とあるとそのような臭いを感じてしまうのです。誤解のないようにしていただきたいのですが、本書の内容はそのようなものではまったくありません。外国との競争のなかで、このような日本人による成果が生まれたことをきちんと正当に書かれてあります。

 本書には半導体技術を専門外の人にどのように説明したらわかってもらえるかについて多くの示唆があります。ですから当ブログに関心を持って頂けるような方にはお勧めできます。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
日本人とナノエレクトロニクス 石くれと砂粒の世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる