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zoom RSS クローニッヒ・ペニーポテンシャル(続き)

<<   作成日時 : 2010/12/05 20:45   >>

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 前回の続きです。前回得た4つの式(10)〜(13)を行列の形で書いておきます。

と置いて
   (1)
 これは右辺が0の4元連立方程式です。右辺が0の多元連立方程式を斉次方程式といいます(永年方程式ということもあります)。

 ここでもっとも簡単な2元の斉次方程式の例を挙げます。
 
 
この方程式の解ですが、xもyも0ならばこの方程式を満たしますから、これが一つの解です。これは当たり前なので、「自明な解」と言われます。両方とも0の自明な解は普通は役に立ちません。0でない解があるかが問題です。

 今、例えばx=b、y=-aとすると、これは少なくとも上の式は満たします。これが下の式も満たすための条件は
 
です。この条件が満たされていれば、上の斉次方程式は自明でない解をもつことがわかります。x、yに同じ数をかけたものや、正負を逆にしたものも解になりますから、解の組は一組ではなく無数にあることになります。

 上の2元連立方程式を行列の形で書くと
 
です。行列に対応して行列式というものがあります。上の方程式の係数行列に対応する行列式は
 
のように書かれます。行列式は行列とは違って一つの値を示しています。上の行列式の値は
 
で、さきほどの斉次方程式に自明でない解がある条件の式の左辺と一致しています(符号は逆ですが)。2元ではわかりませんが、4元の行列式の例を示すと、行列式の値の計算の仕方の規則がわかります。それを示すと
 
 
  
となります。要素を対角線の方向に掛け合わせ、掛け合わせる方向が右下がりの場合はプラス、左下がりの場合はマイナスの符号を付けます。

 ここでは証明はしませんが、多元であっても係数行列に対応する行列式が0であればその多元斉次方程式は自明でない解をもつという定理があります。

 この定理をさっそく本題の方程式に適用してみます。
   (2)
を計算します。その結果は
 
    (3)
なお、sinh、coshと書いたのは双曲線関数でハイパボリックサイン、ハイパボリックコサインなどと読みますが、定義は
 
 
です。

 少し数式展開のテクニックになりますが、上式のZ*をその共役複素数で置き換え、もとの式から引き算することを考えます。またオイラーの公式によって
 
 
ですから、引き算した式は
 
     (4)
となります。この式が成り立つためには
 
か、または
 
     (5)
が成り立つ必要があります。

 クローニッヒとペニーによれば、簡単化のためにV0bは一定に保ち、
    
という極限を考えます。このとき
 
 
であることを考えると(5)式は
   (6)
とだいぶ簡単な形になります。これがクローニッヒ・ペニーポテンシャルに対して巡回境界条件が与えられたときの波動関数が存在する条件式です。

 図は(6)式の関数をyとし、を変数xと置き
 
をプロットしたものです。ただしcは定数で、図ではc=1としてあります。
画像

 この図がバンド理論につながるのですが、それは次回ということにします。





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