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zoom RSS 電流増幅率

<<   作成日時 : 2011/11/27 13:42   >>

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 トランジスタといえば信号の増幅ができるというのが最大の特徴ですが、その特徴を示す電流増幅率の式を今回は導いてみます。

 入力電流をエミッタ電流IEとし、出力電流をコレクタ電流ICとしたとき、入出力の比、つまりコレクタ電流のエミッタ電流に対する比αを電流増幅率と呼びます。
 

 αの値は前回までの解析からほとんど1です。「ほとんど1」というのは正確には1に等しくはないという意味です。

 その理由の一つは、エミッタ電流が0であっても出力のコレクタ電流が僅かに流れるからです。この電流は実際に観測できます。この僅かな電流ICBOをコレクタ遮断電流と呼びます。これはnpnトランジスタならベース領域にいる多数キャリアの正孔が僅かながらコレクタ側へ拡散するためです

 このほか、表には出ませんが、エミッタから流れ込んだ電子はベース領域の正孔と再結合して消滅してしまえば、その分はコレクタに到達しないので、コレクタ電流はエミッタ電流より少なくなります。
画像


 以上の関係は
 
と表されます。このαを詳細にみていきます。

 まずエミッタ−ベース接合を流れるエミッタ電流IEに着目すると、これは電子の拡散による電流InEと正孔の拡散による電流IpEからなります。

 図をみると、電子はエミッタ電極から供給されるのに対し、正孔はコレクタでは少数キャリアですからコレクタ側からはほとんど供給されませんが、ベースには電極があるので、そこから供給されることができます。このためIpEはベース−エミッタ間を流れるだけでコレクタ側へ流れる電流には寄与しません。そこで
 
で表されるγの分がコレクタ側へ流れる電流になります。

 InEとIpEはすでに式を導いているわけですから、これを上式に代入してみます。
 
coth x はx≪1であれば
 
と書けるので、上式は
 
となります。さらに式中の少数キャリアであるpEとnB
 
の関係を使って多数キャリアnEとpBで表すと
 
となり、γは
 
と書けます。

  したがってpBがnEより小さいほどαは1に近づくことになります。したがってエミッタのドナー濃度をベースのアクセプタ濃度より大きくするほど、αは1に近づくと言えます。

 一方、エミッタからベースに拡散によって流れ込む電子による電流InEのうち、ベース領域の正孔と再結合せずにコレクタに到達する電子による電流InCの割合δは次式で表されます。
 
となり、WがLnBより小さければ
 
と近似できます。Wが小さいほど電子は再結合せずにコレクタに到達できることが示されます。これはもっともらしい結論と言えるでしょう。

 以上よりαは
 
   
となります。

 この関係からαを1に近づけるためには
1.ベース幅Wを小さくする。
2.拡散距離Lを長くする。
3.エミッタの多数キャリア濃度nEをベースのそれpBより大きくする。
の3つが有効であるとの結論が得られます。

 このうち、2は半導体材料の性質で決まってしまいますが、1と3はトランジスタを作製するときの設計によって配慮することができます。

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