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zoom RSS バイポーラトランジスタを用いた増幅回路

<<   作成日時 : 2011/12/25 16:07   >>

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 電流増幅率αはほぼ1、むしろ1より小さいという前回の結論からはトランジスタによってどうして増幅ができるのかという疑問が起きるかもしれません。しかしトランジスタのなかで電子と正孔の動きによって起きることはこれに付きます。

 前にも書いていますが、増幅とは着目している入力エネルギーが大きくなって出力されることで、これはトランジスタの外部につなぐ回路によって決まります。以下、基本的な増幅回路を紹介します。

 トランジスタは3つの端子をもった素子です。そこで1つの端子を共通端子に定め、他の1つとこの共通端子の間に入力信号を入れ、残った1つの端子と共通端子の間から出力信号を取り出すことになります。これには3通りあり、以下一つずつ説明していきます。

1.ベース接地
 これまで示してきた図Aのようなトランジスタの接続法はベース接地回路に相当します。日本語では「ベース接地」というのが普通ですが、英語では"base common"(ベースコモン)ということがあります。3端子のうちベースを共通端子とするという意味です。入力信号はベースを基準にしてエミッタに入れます。図のVEBがこの入力信号と考えて下さい。出力信号は共通端子のベースを基準にしてコレクタから取り出します。

 これまで解析してきたようにエミッタ電流IEはエミッタ−ベース間電圧VEBがわずかに増加するだけで急増します。これはエミッタの入力抵抗(入力インピーダンスとった方が正確です)が小さいことを意味します。一方、コレクタ電流ICはコレクタ−ベース間電圧VCBが多少変化してもほとんど変化しません。これはコレクタの出力インピーダンスが大きいことを意味します。

 このためエミッタに接続する入力信号の電源の内部抵抗はエミッタの入力インピーダンスより小さくないとエミッタに電圧がかかりません。一方、コレクタにはインピーダンスの大きな負荷抵抗RLをつないでも十分出力信号が取り出せます。

 入力信号の電源の内部抵抗をRiとすると、入力電圧VEB
 
です。一方、負荷抵抗をRLとすると、出力電圧Vo
 
です。エミッタ電流IEとコレクタ電流ICはαがほぼ1なのでほぼ等しく、したがってRi<RLであれば
 
であり、電圧あるいは電力について増幅ができることがわかります。

 ベース接地回路は出力インピーダンスが高いので、入力インピーダンスの低い回路を後ろにつなぐことが難しく、多段接続がし難いのが欠点です。
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2.エミッタ接地
 図Bに示す回路では3端子のうちエミッタを共通端子とします。入力信号はエミッタを基準にしてベースに入れます。出力信号は同じくエミッタを基準にしてコレクタから取り出します。

 エミッタ電流IEからコレクタに向かって大きな電流が流れてもベースに流れる電流は僅かです。エミッタ電流を1としたとき、コレクタにαの電流が流れるとすると、ベースに流れる電流は1−αに相当します。αは1に近い値ですから、これは非常に小さい値になります。これはベースの入力インピーダンスがかなり大きいことを意味します。一方、コレクタ電流はコレクタ−エミッタ間電圧VCEが多少変化してもほとんど変化せず、コレクタの出力インピーダンスも非常に大きいことになります。

 上記のことから、ベース電流に対するコレクタ電流の比βは
 
です。このβはαが0.99なら99とかなり大きな値になり、エミッタ接地では電流自体が増幅されることがわかります。入力抵抗がかなり大きいので、出力抵抗がある程度大きい回路を入力に接続ができ、多段の増幅も可能です。増幅回路としてはこのエミッタ接地回路がもっともよく使われます。
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3.コレクタ接地
 図Cに示す回路では3端子のうちコレクタを共通端子とします。入力信号はコレクタを基準にしてベースに入れます。出力信号は同じくコレクタを基準にしてエミッタから取り出します。

 繰り返しになりますが、エミッタ電流を1としたとき、コレクタにαの電流が流れるとすると、ベースに流れる電流は1−αに相当します。ベース電流IBに対するエミッタ電流IEの比γは
 
です。このγはβに近いかなり大きな値になり、コレクタ接地でも電流自体が増幅されることがわかります。

 この回路の特徴は入力抵抗がかなり大きいのに比して出力抵抗がかなり小さいことです。このためこの回路は増幅というよりインピーダンスの変換によく使われます。出力インピーダンスが低いと次につなぐ回路の制限が厳しくなくなり使いやすくなります。
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 トランジスタの回路を電子と正孔の動きを使って考えるのはここまででしょう。これより先はトランジスタを等価回路で置き換え、回路としての計算をしていくことになります。半導体の物理からは離れてしまうのでここではそのような回路理論には立ち入らないことにします。

 バイポーラトランジスタについてはこのくらいにして、次回から別の話題に移ります。

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