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zoom RSS 金属−半導体接触

<<   作成日時 : 2012/01/15 00:21   >>

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 これまで半導体同士が接合した場合について扱ってきましたが、今回からは金属と半導体が接触した場合を考えます。これは半導体に電圧をかけたり、電流を流す場合に必ず必要になる電極はもちろん、半導体素子そのものにも応用される重要な組み合わせです。

 少し前まで参照してきた「半導体の理論と応用(上巻)」には第3章に「金属整流器の発展」という項目があります。金属整流器という言い方は最近ではあまり見かけないので、何のことかと思われるかもしれませんが、内容はまさに金属と半導体を接触させた場合について書かれています。

 金属と半導体を接触させたとき生じる整流現象、つまり金属側にかける電圧をプラスにするかマイナスによって流れる電流が異なるという現象のメカニズムが歴史的にいかに解明されていったかについて、詳しく説明がなされています。最近の本にはこのようなことはほとんど書かれていないので、今となっては貴重です。

 初めて固体の整流器として使われたのは亜酸化銅やセレンに金属電極を着けたダイオードです。とくにセレン整流器は1960年代頃まで交流電源を整流して直流を得るために使われていたと思います。その後、シリコンpn接合ダイオードによって完全に置き換えられました。

 さて金属と半導体を接触させたとき整流現象が起こることは、金属と半導体の界面に障壁(バリア)ができることで説明されています。なぜバリアができるかはつぎのように説明されます。

 金属とn型半導体が接触せず離れているとき、それぞれのバンド図は図Aのようになります。金属の充満帯と半導体の価電子帯のエネルギーはそれぞれ物質によって異なります。それぞれのなかにある電子を真空中に引き離すのに必要な仕事を仕事関数(work function)と言いますが、これはフェルミ準位と真空準位のエネルギー差に相当し、図のψm(金属)、ψs(半導体)で表されます。金属の場合は充満帯の上端がフェルミ準位です。

 この仕事関数は材料によって変わります。金属の場合は物質固有の値と言ってよいですが、半導体の場合はキャリア濃度によってフェルミ準位のエネルギーは変化しますから、仕事関数も変化します。

 この金属と半導体を接触させるとどうなるでしょうか。半導体同士のpn接合では両方のフェルミ準位が一致するようにエネルギーが決まりましたが、金属−半導体接触でも事情は同じです。図Bのように金属の充満帯の上端が半導体のフェルミ準位に一致するようになります。このときでも界面から遠い半導体内部では電子と正孔の濃度比は金属と接触させる前と変化しないはずですから、禁制帯中のフェルミ準位の位置も接触前と変わりません。

 一方、界面付近では上記の関係は保たれず、接触前の金属と半導体の仕事関数差が反映した障壁ができます。これは言い換えれば仕事関数差に応じて電荷が移動し、半導体の界面付近が帯電しバランスがとれたところで平衡するということです。

 障壁の高さはψmsで表されます。χsは半導体の電子親和力(electron affinity)と呼ばれ、伝導帯の底と真空準位のエネルギー差です。

画像


 この図からわかるように、金属の仕事関数ψmが半導体の仕事関数ψsより大きいほど、電子に対する障壁は高くなることがわかります。一方、図Cのようにψmが小さく、この大小関係が逆転すると、図Dに示すように電子に対する障壁は無くなります。

 ここまでは「電子に対する」障壁と断りを入れてきましたが、正孔に対しては上記の関係は逆転します。図Dの場合を見ると、価電子帯に障壁ができているのがわかります。これは正孔に対する障壁です。図はn型半導体の場合を示していますので、正孔は少数キャリアですが、p型半導体に対しても事情は同じで、正孔に対する障壁はψmがψsに比べて小さいほど高くなります。

 図B、図Dは外部の電位差がない状態を示していますが、外部電圧Vを印加すると図のVDがVD+Vに変化します。Vの極性が半導体側がプラスならば電子は金属側から障壁を越えて半導体側に流れようとし、マイナスなら半導体から金属側に向かって流れようとします。障壁があるので、Vがマイナスのときの方が電流が大きくなると考えられます。これが整流現象です。

 長くなりましたので、この整流現象についての定量的な理論は次回に回すことにします。

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