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zoom RSS 多重量子井戸発光層

<<   作成日時 : 2012/06/03 19:17   >>

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 発光ダイオードを動作させるためには電流を流さなければなりませんが、その電流は小さいに越したことはありません。電池で動作させている機器では大きな電流が必要な素子は使えません。また大きな電流を流していると素子そのものだけでなく、それ以外の周辺の回路からも熱が発生し装置の温度が上がり故障を引き起こしやすくなります。

 発光ダイオードでは発光層のなかに電子と正孔が注入され、それが結合して自然放出による発光を起こします。電子と正孔を注入するためには電流を流します。この電流が大きいか小さいかは電流が流れ込む面の面積によって変わりますから、この面積を小さくすれば電流は減りますが、それによって発生する光の量も減ってしまいます。そこで比較は同じ面積で行う必要があります。これは単位面積当たりの電流(電流密度といいます)で比較するということで、つまりは電流密度をいかに小さくするかが問題です。

 できるだけ小さな電流密度でできるだけ強い発光を起こさせるためには、注入したキャリア(電子と正孔)を無駄なく再結合させ発光に使われるようにする必要があります。このためには、できるだけ狭いところにキャリアを閉じ込めた方がよさそうに思われます。前回も説明したダブルヘテロ構造の発光層をできるだけ薄くすればキャリアはその狭い部分に閉じ込められます。
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 図Aは特開昭57-152178に掲載されている図ですが、この図からわかるように半導体レーザの場合、活性層の厚みを減らすと発振しきい電流密度値も小さくなります(http://denkou.cdx.jp/Opt/LD01/LDF1_35.html)。これは少ない電流密度でも活性層にレーザ発振を起こすに必要な量のキャリアが供給されることを意味しています。発振しきい値より小さい電流密度のとき、素子はLEDの動作をしますから、LEDにおいても活性層の厚みが薄いほど、小さい電流密度で同等の量のキャリアが供給され、同等の強さの光が放出できることになります。

 では発光層をどんどん薄くしていくとどうなるでしょうか。そうなると発光層に入りうるキャリアの絶対数が制限されることになります。発光は効率よく起こってもキャリアの絶対数が増えなくては発光強度は大きくなりません。

 ではどうするかというと、この薄い発光層を平行に複数積み重ねることが考えられました。上記の特開昭57-152178には図Bのような構造のLEDが記載されています。GaAs基板1の上にAlGaAs下部クラッド層2、活性層3、AlGaAs上部クラッド層4、GaAs電極層5を積層した構造で、活性層3はAlGaAs発光層7と発光層の間は発光層よりバンドギャップエネルギーの大きい(Alの組成比を大きくした)AlGaAs層8で区切った多層構造となっています。各層の厚みは20nm以下です。このような構造はこの特許のなかでは超格子構造と呼ばれていますが、近年では多重量子井戸構造と呼ばれる方が普通です。層7を井戸層、層8を障壁層と呼びます。
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 可視光のLEDを最初に開発したホロニャック(N. Holonyak)も同時期に多重量子井戸を採用したLEDを提案しています(特開昭58-500681(特公昭63-51557))。この特許は製造方法に関するもので、発光特性についてはあまり書かれていません。

 最近では発光層を多重量子井戸にした構造は当たり前のように採用されるようになっています。

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