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<<   作成日時 : 2013/07/28 20:57   >>

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 LEDは正常に使う限り大変寿命が長いのが特徴ですが、通常でない高い逆電圧や大きな電流が例え瞬時に加わると極めて弱いとされています。非常に短い時間でも過大な電圧、電流(サージ電圧、電流と言うことがあります)で接合が破壊されやすいからです。例えば屋外で使う信号機などでは雷によるサージ電圧、電流にさらされる恐れがあります。雷は巨大な放電ですから、直接の落雷でなくても誘導によって電源ラインなどに高電圧パルスが発生し、これがLEDにかかってしまう恐れがあります。

 静電気によっても似たようなことが起こります。まず静電気とは何かについて説明しておきます。絶縁体には電荷が貯まることがあり、これを帯電と言います。摩擦によって起こる帯電は古くから知られ、摩擦電気と呼ばれることもあります。

 この帯電がどうして起こるのかは大体つぎのように考えられています。図Aに示すAとBの2つの物質は初めはもちろん電気的に中性です。これを擦り合わせると一方から一方へ(図ではBからAへ)物質中の電子が移動すると考えられます。その後、2つを引き離すと、Aは電子が多い状態になり、負に帯電した状態になります。逆にBでは電子が不足した状態になり正に帯電した状態になります。
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 何が正に帯電し、何が負に帯電するかは経験的に決まっていて、「帯電列」という列の形にまとめられています。一部を示すと
 +(正) 皮革・ガラス・ナイロン・ゴム・ポリエチレン・エボナイト −(負)
のような感じで、正に帯電しやすい順(逆に負に帯電しやすい順)にいろいろな物質が一列に並べられていて、同じ物質でも相手がどちら側にあるかによって正にも負にも帯電します。一度帯電すると電荷は簡単には逃げないので、その状態が長く保たれます。

 このような帯電状態は導体中を流れる電気とは明らかに違うので、これを静電気と呼んでいます。絶縁体中では自由に動ける電子は少なく、帯電した状態が原子レベルでどうなっているのかは物質によっても違い、あまりはっきりしていないようです。

 このような帯電した物質に図Bに示すように金属など導体を近づけると、金属中では電子が自由に移動できるので正に帯電した物に近づけるとそれに近い側に電子が近づいてきてその付近は負に帯電した状態になります。導体を遠ざけると元に戻ります。この現象を静電誘導と呼びます。もともと導体中の電荷は中性ですから片側に電子が偏ると反対側は電子が不足して正に帯電した状態になります。
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 帯電電荷量をQとすると、絶縁体と近づけた金属の間の電位差はこれに比例して
  
となります。Cを静電容量と言います。静電容量は、面積がSの平板電極が距離d隔てられているとき、
  
で与えられます。εは電極間の物質の誘電率です。帯電物質に金属片を近づける場合は単純な平板電極とはちがいますが、大雑把には距離dが小さくなるほど同じ電荷でも電圧Vは大きくなります。

 電圧Vが上昇すると何が起きるでしょうか。電界がある値に達すると空気中で放電が起きて、電子が空気中に引き出され、相手の電荷と結合して中性に戻されます。1気圧の空気においては3.6×106V/mで放電が始まります。これは間隔が1mmならば3600Vの電圧に相当します。乾燥したときに指を金属に近づけたときパチっと衝撃を受けるのはまさに帯電した人体の指先で放電が起こったためで、人体に大きな電荷が帯電していたために起こる現象です。

 人体からの放電を模擬した静電気放電の試験回路としては図Cのようなものが規定されています。スイッチSWを直流電源側にして電圧Vを静電容量C=100pFのコンデンサに充電し、その後、スイッチを被試験素子側に切り換えるとコンデンサCに貯まっていた電荷が被試験素子側に瞬時にかかります。つまり高電圧Vのパルスが被試験素子に加わります。この後、被試験素子が故障したかどうかを調べれば、どの位の電圧Vで被試験素子が破壊するかがわかります。
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 なお、この静電気破壊の試験方法は人体からの放電を模擬したもので国際的に通用する方法ですが、日本ではJISに規定がなく、電子情報技術産業協会(JEITA)という団体が制定している規格に定められています(JEITA 4701/304)。

 次回以降、静電気により半導体の接合が破壊されるメカニズムやLEDの静電破壊電圧を高くする工夫などについて調べます。

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