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<<   作成日時 : 2014/02/10 21:22   >>

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 発光ダイオードパッケージには発光ダイオードが発生する熱を吸収し、外界へ逃がすという重要な役割があります。発光ダイオードは白熱電球などに比べたらその発熱は少ないのですが、最近は照明などの用途でますます強い光を出すことが求められていて、そうなると発熱は無視できなくなります。

 パッケージから熱が放散しやすいようにしてやらないと、発光ダイオードチップの温度は上昇します。あまり温度が上昇すると発光ダイオードに限らず多くの半導体デバイスは故障の恐れが出てきます。すぐ故障しないまでも寿命が短くなります。また発光ダイオードについては接合温度の上昇によって発光波長が変化する場合があります。

 パッケージから熱を逃げやすくするためには、発熱源であるチップが直接触れる基板やリードフレームなどを熱の伝わりやすい材料にすることがまずは考えられます。ただ折角熱がこれらに伝わっても、そこから外界に逃げずパッケージ内に留まってしまってはチップの温度を下げる効果は生まれません。

 パッケージにはいろいろな部材が組み合わせて使われているので、それらを通して熱がうまく外界に逃げるように設計する必要があります。この熱設計に関する考え方を今回は紹介します。

 距離d(m)離れた2点A、Bがあり、A点の温度がTAでB点の温度がTBのとき、A点からB点へ向かって流れる単位面積当たりの熱量q(単位W/m2)は
  
と表されます。ここでkを熱伝導率といい、単位はW/m.Kです。この関係は1次元の場合のフーリエの法則とも呼ばれます。

 この式はつぎのようなオームの法則と同じ形をしています。
  
ここでP点の電位をVP、Q点の電位をVQとし、PQ間を流れる単位面積当たりの電流をj(A/m2)とします。σは電流が流れる物質の電気伝導率(または導電率)で、単位はシーメンス(S)/mです。電位Vが温度Tに、電流jが流れる熱量qに対応し、熱伝導率kが電気伝導率σに対応します。

 電気伝導率の逆数が電気抵抗率ρですから、
  
これにならって熱伝導率の逆数を熱抵抗率rHと定義します。
  
 こうするとよいのは熱に関する設計を電気回路の設計と同じ考え方ですることができるようになることです。図Aは発光ダイオードパッケージの熱の伝わりを熱抵抗の回路として表した例です(特開2010-50473より)。
画像

 発光ダイオードチップ101が金属ベース103の上にダイボンドされています。金属ベースは回路基板106の上の導電層107にエポキシ樹脂111によって接着されています。さらに回路基板は接着剤112によってヒートシンク113に接着されています。ヒートシンクは表面積を大きくして外界に熱を放散しやすくするため、翼(フィン)が設けられています。

 図の左側にこのパッケージに対応した熱抵抗回路が描かれています。RBは金属ベースの熱抵抗です。REはエポキシ樹脂と配線層を合わせた部分の熱抵抗、RPは回路基板の、RAは接着剤の熱抵抗です。

 この場合、チップからヒートシンクに至る間の熱抵抗Rは
  
と書けます。

 この特許では定量的な議論はしていませんが、大雑把な数値を挙げてみます。金属ベースが例えば銅でできているとすると、銅の熱伝導率はおよそ400W/m.Kです。これに対して樹脂の熱伝導率は一般に1W/m.K以下です。言い換えれば金属の熱抵抗率は樹脂の熱抵抗率に比べて1/10000でしかないことになります。

 実際の熱抵抗は各部材が同じ面積(単位面積)であるとすれば、各部材の厚さを熱抵抗率にかけた値になります。回路基板が樹脂であるとして、その厚さを金属ベースの厚さの1/10にし、樹脂接着剤は非常に薄くしたとしても、RPはRBの1000倍にもなり、全体の熱抵抗はほとんど回路基板部で決まることになります。

 そこでこの特許では新しい構造として図Bを提案しています。チップを搭載した金属ベースの下部にネジ部204を設け、金属ベースを直接ヒートシンクにネジ止めできるようにし、回路基板や接着剤を排除しています。こうすると熱抵抗は金属ベースのRBだけ考えればよく、これはほとんど0とみなせます。チップ温度はほとんどヒートシンクの温度と同じになると言えるわけです。
画像

 なお、上記の例では熱の伝わる経路を一つだけしか考えていませんが、場合によっては2つ以上の経路があることがあります。例えばワイヤーボンドの線を通しての熱の伝わりを考慮に入れる場合などです。その場合はチップからの熱はダイボンド部とワイヤーボンド部の2つの異なる経路を通って伝わることになりますから、熱抵抗は単純な直列接続でなく、並列回路を組み合わせたものになります。このような複雑な伝熱経路を考える場合にむしろ熱抵抗の考え方は偉力を発揮します。






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