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zoom RSS エレクトロルミネッセンス素子

<<   作成日時 : 2014/07/23 21:13   >>

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 今回から発光素子の一つであるエレクトロルミネッセンス(EL)素子について調べていくことにします。主な関心は最近実用レベルに達した有機EL素子にありますが、同じ発光素子の発光ダイオードとはどう違うのかを考えるために、少し歴史を振り返りながら話を進めたいと思います。

 エレクトロルミネッセンス(electroluminescence)とは何かをまず考えなければなりません。エレクトロルミネッセンスと同類の言葉にフォトルミネッセンスとかカソードルミネッセンス、サーモルミネッセンス等々があります。

 ルミネッセンスは物質の発光を表す語ですが、その前に付く語は何によってエネルギーを与えられて光るのかを示しています。フォトルミネッセンスは光によりエネルギーを与えられて光る現象です。光を受けて光を出すので、受ける光と発光する光は通常、波長(色)が異なります(同色では区別がつきにくい)。

 カソードルミネッセンスは電子線の照射により発光する現象(エレクトロンルミネッセンスとはなぜか言わない)、サーモルミネッセンスは熱による発光現象です。以上から類推してエレクトロルミネッセンスは電気による発光ということになりますが、電気という語はあいまいです。発光ダイオードや半導体レーザも電源をつないで電流を流して発光させるので、エレクトロルミネッセンスの一種と言えます。ただしこれは「広い意味で」と但し書きを付けた方がよいと思います。

 エレクトロルミネッセンス(EL)素子の訳語として日本語には電界発光素子という語があります。素子に高い電界をかけ、それによって電子と正孔を供給し発光を生じさせます。このような電界によって発光する素子を一般にEL素子と呼ぶと考えてよいかと思います。

これに対して発光ダイオードや半導体レーザは注入発光素子と言う言い方で区別することがあります。「注入」とは変な言葉ですが、英語の”injection”の訳語です。電流を流し込むことを英語で”current injection”と言うことからきています。

 つまり電気で発光する素子のうち、電界の印加によって発光する素子をEL素子または電界発光素子といい、電流注入によって発光する素子を注入発光素子と呼び、こちらをEL素子とは普通呼ばないと言ってよいかと思われます。

 有機EL素子は実は上記のような説明の枠からも外れるやっかいな存在なのですが、その説明は後回しにして、一般に電界発光素子と呼ぶのが適当なEL素子の話を先にすることにしたいと思います。

 電界発光現象はフランスのデトリオ(G. Destriau)という人によって初めて見いだされたと言われています。調べてみると、1955年に出願されたアメリカ特許が見つかりました。US2901651(1959)がそれです。先行文献として発明者自身による1947年出版の論文があげられています。

 この特許の権利者はアメリカのウェスティングハウス社になっていますが、デトリオ氏が権利を譲渡したのか、この会社に入社したのかその辺の事情は調べ切れていません。またこの現象の発見はもっと早いという説もありますが、調べた限りではそれを示す文献は見つかりませんでした。

 注入発光は基本的に半導体のpn接合を利用するものですが、電界発光は接合を利用しない点が異なります。良質のpn接合ができてくるのは1950年代半ば以降ですが、ELはそれがなくてもよいので、発光ダイオードより先行して発光が確認されたと考えられます。
画像

 図はこの特許で述べられている発光層の断面図です。発光層16は蛍光体粒子18が液体誘電体20に分散されたものです。蛍光体としては酸化亜鉛(ZnO)に賦活元素として銅(Cu)をドープしたものが例示されています。液体誘電体はオイルです。

 この発光層が電極で挟まれています。下側はガラス基板12の表面に透明導電層14が設けられたもので、光はこちら側から出射します。上側はマイカからなる絶縁層22と一体になった可動電極24が設けられています。上側の電極を発光層に沿って振動させると発光強度が向上するとされていますが、その理由ははっきりしません。

 発光層の厚さは0.1mmでこれに115V、60Hzの交流を印加して発光を生じさせています。104V/cmというかなり大きな交流電界をかけて発光させているのが特徴です。

 液体に微粒子を分散させた層での発光を発見者名をとって「デトリオ効果」と呼ぶそうですが、あまり一般的でないように思います。以後、液体層を固体層に改良し、より実用的にした電界発光素子が登場しますが、それは次回に。

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