石くれと砂粒の世界

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zoom RSS フロンティア軌道

<<   作成日時 : 2014/11/23 19:40   >>

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 前回紹介した「実践 量子化学入門」を参照して、エチレンの分子軌道計算の例を紹介します。エチレン分子は以下のような分子式をもっていて
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炭素2個と水素4個からなっています。炭素原子は4個の価電子をもち、水素原子は1個の価電子をもっていますから、エチレン分子は4×2+1×4=12個の原子軌道が組み合わさった分子軌道をもっていることになります。WinMOPACによりこの12の分子軌道のエネルギーを計算することができます。結果を下表に示します。
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 各軌道には上下方向の矢印で示すようにスピンの異なる電子が2個入れますから、12個あるすべての電子をエネルギーの低い軌道から入れていくと6番目の軌道までが埋まることになります。この6番目までの軌道はエネルギーがマイナスになっていて、電子が安定に存在できることが示されています。すべての電子が安定な軌道に入っているので、エチレン分子は安定に存在できることになります。

 7番目の軌道は通常空いていますが、何らかのエネルギーが与えられて電子のエネルギーが高くなる(励起されるといいます)と、ここに電子が入ることは可能です。この電子は不安定ですから、エネルギーを放出して下の軌道に戻ります。

 6番目の軌道と7番目の軌道はエネルギー差も他の軌道間より大きくなっていますが、性質としても決定的な違いがあります。6番目の軌道は電子で埋まっているもっともエネルギーの高い準位をつくっています。そこでこの軌道を最高被占分子軌道といいます。英語ではHighest Occupied Molecular Orbitalですので、各語の頭文字をとってHOMOといいます。日本語が長く言いづらいのでHOMO(ホモ)と呼ぶ方が多いようです。

 一方、7番目の軌道は空いている軌道のうち最もエネルギーの低い軌道ですから、最低非占分子軌道または最低空軌道といいます。英語ではLowest Unoccupied Molecular Orbital、略してLUMO(ルモ)と言います。

 HOMOにいる電子は価電子のなかではもっとも高いエネルギーをもっていますので、小さなエネルギーで上の準位に励起されやすいといえます。一方、LUMOは空いている軌道としてはエネルギーがもっとも小さいので、励起された電子が入りやすい軌道です。LUMOとHOMOのエネルギー差は半導体結晶に馴染んだ方にとってはバンドギャップエネルギーに似た考え方と感じられるかもしれません。

 このHOMOとLUMOをまとめてフロンティア分子軌道といいます。フロンティアとはアメリカ史の西部開拓などで開拓地と未開拓地の境界を意味した言葉でしたが、福井謙一博士はこの言葉を用いて化学反応に関してその重要性を指摘し、これがノーベル化学賞受賞の対象となりました。

 このフロンティア軌道が分子の発光現象にどのような役割を果たすのか、次回以降調べていきます。

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